欧州委員会は6月27日、検索世界大手グーグルに対し、シェア一位の検索エンジンである立場を利用し、自社のショッピング比較サービス「Google Shopping」に有利になるように人工的かつ違法に検索結果を操作したことが独占禁止法に抵触するとし、24.2億ユーロ(約3,000億円)の罰金を科すことを決定した。検索結果の表示は、競合サイトも自社と同等に扱うよう命じた。罰金額はEU史上最大。今回の決定は、グーグルが提供する地図や旅行など他の検索サービスにも将来適用される可能性がある。
欧州委員会は、グーグルに対し、違法行為を90日以内に正すことを命令。これに従わない場合、1日1,060万ユーロの追加制裁金が科される。この額は、グーグルの親会社であるアルファベットの世界全体での1日平均売上高の最大5%に当たる。また、従う場合も、当局の命令に従うための具体的な方策の説明が義務付けられた。
欧州委員会は、今回の決定に当たり、約17億の検索クエリを分析。違法行為を確認した。グーグルの検索結果においては、トップ10の検索結果が全クリックの95%、最上位のページは35%の恩恵を受けるとされ、企業にとって検索上位にあることは死活問題。欧州委員会によると、グーグルは2004年に欧州でFroogleという価格比較サイトを開設したものの失敗が2年後には明らかになっており、内部文書でもビジネスがうまくいっていない旨が記載されていたという。そのような背景を受けて、グーグルは2008年以降にイギリス、ドイツ等でEU法で違法とされている行為に及んだと見立てられている。
24.2億ユーロの罰金は、同社が違法行為に及んだ期間と侵害の程度、また違法行為が確認された13か国で同サイトが得た収入に鑑みて算出された。
グーグルは、今回の決定に不服の場合、欧州司法裁判所に異議を申し立てることができる。グーグルは同裁判所に訴える見込み。
欧州委員会は、グーグルが他にも独占禁止法違反行為を2件実施している疑いで調査を進めている。1件はAndroid OSについてで、グーグルが検索エンジン首位の地位をさらに拡大、維持するため、アプリケーションの選択肢を絞るなどした疑い。もう一つは、AdSenseに関するもので、自社に有利になるように広告表示を操作した疑い。
【参照ページ】Antitrust: Commission fines Google €2.42 billion for abusing dominance as search engine by giving illegal advantage to own comparison shopping service
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