国連人権理事会(UNHRC)は6月23日、「人権と気候変動に関する決議案(A/HRC/35/L.32)」を全会一致で採択した。
同決議は、主に二つの問題を取り上げており、一つは、気候変動の影響を受けやすい脆弱な存在である児童の人権への懸念。現在5億人の児童が洪水被害の起こりやすい地域に、1億6,000万人の児童が干ばつ被害の地域に、また1億1,500万人の児童が熱帯地方のサイクロンの影響を受けやすい地域に暮らしている。決議では、気候変動対応を検討する際、既存の国際法の考えに基づき児童の人権が考慮されるべきだとした。
二点目は、気候変動によって移住を余儀なくされた人々の人権について。このような人々は気候変動に対応する手段を持たず、移住によってさらにその立場が弱くしがち。人権理事会は、国連に対し、気候変動に由来する移住者を保護する機会や課題について詳細検討するよう求めた。
今回の決議案は、国連人権理事会の理事国である米国政府の動向も注目された。米国政府は、同案件の討議開始時に、トランプ大統領がパリ協定からの離脱を宣言したが、最終的に今回の決議案は米国政府を含む全理事国の賛同を得て採択された。しかし、米国政府は、気候変動がもたらす人権への影響という考え方に賛同を示すとの姿勢を明確にしたものの、国連人権理事会が国連の気候変動の交渉枠組みに干渉することには懸念を表明した。
【決議案】A/HRC/35/L.6
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