今年4月にドイツで初めての洋上風力発電所建設プロジェクト4件の入札が行われ、デンマークのDong Energyが3件、ドイツのEnBWが1件の建設権を受注した。このうち、Dong Energyの2件とEnBWの1件が、再生可能エネルギー補助金ゼロでの受注をしたことが話題を呼んでいる。
Dong Energyが受注したのは、OWP West地区(設備容量240MW)、Borkum Riffgrund West 2地区(240MW)、Gode Wind 3地区(110MW)の3件。このうち前2つで補助金ゼロで受注した。最後のGode Wind 3地区案件では1MWh当たり60ユーロの補助金を受け取る。同様にEnBWが受注したHe Dreiht地区(900MW)案件でも同社は補助金ゼロで受注した。補助金ゼロで受注することは、電力市場価格での売電のみで収益性を成立させること意味する。4件全て2024年から2025年に運転開始予定。
両社は、今回の補助金ゼロで応札した背景となるプロジェクトのコスト構造を明らかにはしていない。世界風力会議(GWEC)によると、専門家は両社の均等化発電原価(Levelized Cost Of Energy、LCoE)はMWh当たり約31ユーロとみている。この収益性が立証されると、洋上風力発電の価格競争力や再生可能エネルギーの可能性が大きく開けることとなるが、GWECはあまり楽観視をしていない。
GWECは、補助金ゼロでの洋上風力発電について、両社のコスト算定の妥当性を懸念する考えを示すとともに、両社はまだ投資の最終決定をしたわけでなく、数年後に比較的安価なペナルティでプロジェクトを破棄できるという条件があることで、非常に低いプロジェクト額の提示に寄与したとも考えられると述べている。両社は、コスト削減の背景について、将来のタービンサイズの大規模化を挙げており、今後の動向に注目が集まっている。
【参照ページ】The risks of zero-subsidy offshore wind
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