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【国際】カーボンプライシングの早期導入が必要。企業経営者やNGOがまとめたレポート発表

 炭素価格制度(カーボンプライシング)に関する提言を行うイニシアチブ「カーボンプライシング・コリドーズ(Carbon Pricing Corridors)」は5月25日、カーボンプライシングについての新たな動向をまとめたレポートを発表した。カーボンプライシング・コリドーズは、国際環境NGOのWe Mean Businessが2017年1月に始動した新たな活動で、気候変動対策の情報開示を推進する機関投資家らによる国際NGOのCDPが事務局を務めている。同イニシアチブには、G20諸国の主要企業のCEOや役員約20名もパネルメンバーとして参加している。

 カーボンプライシング・コリドーズにパネルメンバーを出している企業は、バンク・オブ・アメリカ、HSBC、バークレイズ、PGGM、AP4、ハーミーズ・インベストメント・マネジメント、MN、Engie、イベルドローラ、NRG Energy等。同レポートは、他のパネルメンバーである専門家も含め意見を集約、分析したもの。とりわけ電力事業者に対し二酸化炭素排出量の削減を迫るため、カーボンプライシングを推進している。

 今回のレポートは、適切なカーボンプライシング制度を導入することで、電力事業者がリスクを理解し、パリ協定で合意した目標に沿う経営を実現することに繋がるとし、カーボンプライシングへの期待を大きく示すものとなった。投資家、企業、政府は、カーボンプライシングにより、気候変動がもたらすリスクと機会を計算し、投資意思決定の中に反映させていくことができる。今回のレポートによると、カーボンプライシング制度を導入する政府は世界的に増加しており、炭素価格を組み込んだ企業も2015年から2016年の間に23%増加している。しかし、現在電力事業者が負担している炭素価格は二酸化炭素排出量1t当たり平均35米ドルと低い。今回のレポートでは、パリ協定の2℃目標を遵守するためには炭素価格は2030年までに1t当たり30から100米ドルに設定する必要があると言及した。

 またレポートには、投資家向けツールとして、投資家、電力事業者、政府がそれぞれカーボンプライシングを導入すべきタイミングをまとめた「ユーザーマトリックス」も含まれている。炭素価格については、2030年までの価格シナリオは国際エネルギー機関(IEA)や国際環境NGOカーボントラッカーが発表しているものは概ね一致があるものの、2030年に近づくにつれ適切な価格ラインについての見解が分かれている。今回パネルメンバーからも、IEAやカーボントラッカーの想定価格よりも低い炭素価格を設定することで、技術革新や再生可能エネルギーへの投資促進が可能となると主張する声も出た。

【参照ページ】World’s first investment-grade carbon pricing for power sector launched by industryheavyweights
【報告書】Carbon Pricing Corridors The Market View

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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