米IEEFA(エネルギー経済・財務分析研究所)は5月17日、今月のみでインドで建設予定の石炭火力発電所(合計設備容量13.7GW)が建設中止となったと発表した。同時に、現在稼働中の輸入石炭を用いた石炭火力発電(合計設備容量8.6GW)も稼働停止となる可能性があるという。IEEFAは、石炭火力発電そのものは引き続き行われつつも、増強スピードは落ち込んでいくと見通している。
石炭火力発電所建設計画の背景には、太陽光発電価格の大幅な低下と連邦政府の政策が関連している。インドでは太陽光発電は入札によって売電する制度が採用されており、この入札価格が大きく低下している。最近の入札では、kWh当たり2.5インド・ルピー(約4.3円)程度で落札。今月には、日本のソフトバンク、台湾の鴻海、インドのバーティ・エンタープライズの3社の合弁会社であるSBG Cleantechが、ラジャスタン州の太陽光発電入札で、2.44円(約4.2円)で落札し、インド史上最安価格をマークした。
また、連邦政府も今後の発電所増強計画で、石炭火力発電から再生可能エネルギーへのシフトを鮮明にしており、現在もピユシュ・ゴーヤル連邦政府エネルギー大臣の強いリーダーシップで同政策が推進されている。
【参考】【インド】政府、今後10年間の国家電力計画案を公表。石炭火力発電の新設をゼロに(2016年12月31日)
その結果、輸入石炭を用いた石炭火力発電が割高になっており、経済的にも石炭火力発電を推進するメリットがなくなってきている。インドでは、州によってはすでに電力余剰のところもあり、各州は割高な電源を自前で開発するより、市場を通じた他州からの電力購入に活路を見出すところも出てきた。そのため、現時点で稼働している石炭火力発電所も、価格を下げることができなければ、停止に追い込まれる可能性が出てきている。
【参照ページ】IEEFA Asia: India’s Electricity-Sector Transformation Is Happening Now
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