消費者庁、農林水産省、環境省、厚生労働省は5月16日、食品廃棄物削減のため、食べ残し料理の持ち帰りに関する留意事項を発表した。残った料理を持ち帰る場合は、食中毒リスクを十分に理解した上で、自己責任の範囲内で行うことなどを推奨している。
日本では、本来食べられるのに廃棄されてしまっている「食品ロス」が年間621万t発生。そのうち339万tが食品関連事業者によるもので、とりわけ飲食店等における食べ残しが35%と大きな割合を占めている。この食品ロス問題を解決するため、食べ残し料理の持ち帰り運動を呼びかける地方自治体も出てきているが、一方で食中毒など健康に関する理解を正しく普及していく必要性も指摘されている。
今回の関係省庁合同発表では、まず消費者に向け、食べきれる量だけを注文することや、食べ放題の店でも「元を取ろう」と無理に料理を皿に盛らないよう注意することを呼びかけるとともに、宴会などの企画者に対しても参加者が食べきれる量だけを準備し、さらに参加者がしっかり食事を採る時間を設けるよう促した。
飲食店に向けては、客が食べきられる量やメニュー、食事を出すタイミングに配慮することを呼びかけた。また、宴会等でも食べきったらサービス券を配布するなどのインセンティブも有効だとした。
一方で、持ち帰りによる健康リスクについては、基本は自己責任だとした上で、生ものや半生のものは帰宅後に加熱が可能なもののみに留めること、帰宅後は清潔な状態で早く冷えるように浅い容器に小分けにすること、寄り道をしないように早く帰ること、少しでも怪しいと思ったら持ち帰り品を食べるのをやめることなどを呼びかけた。同時に飲食店に対しても、持ち帰り希望者に、食中毒リスクや持ち帰り品の取扱方法などを十分に説明し、生ものや半生のものの持ち帰りは極力受け付けないこと、暑い日には保冷剤も添えること、取扱いに関する注意書きを添えることなどを対策方法を紹介している。
日本では、健康リスクへの配慮のためか、食べ残し品の持ち帰りが慣習としてあまり定着していない。しかし、食品ロスが食品廃棄物となって資源を無駄にしたり、環境破壊につながる状況であるため、今回の留意事項に基づき、消費者と飲食店が協力しながら、食べ残しを少なくする努力が非常に重要となる。
【参照ページ】飲食店等における「食べ残し」対策に取り組むに当たっての留意事項について
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