化学物質・廃棄物関連3条約と呼ばれる「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」、「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約」の締約国会議が4月24日から5月5日、スイス・ジュネーブで開催され、規制物質の追加が決まった。
ストックホルム条約が規定している「残留性有機汚染物質(POPs)」とは、自然環境で分解が難しく放置すると生物濃縮によって人体や生態系にとって有害となる有機物。同条約ではPOPsと認定される物質を定め、製造、使用、輸出入、禁止や制限を定めている。今回の締約国会議では、主に難燃剤として使用されているデカブロモジフェニルエーテル(DBDE)、短鎖塩素化パラフィン(SCCP)が廃絶すべきPOPsとして新たに追加された。これにより、工業用途の一部例外を除き、同物質の製造と使用が禁止される。一部例外として定められた用途も5年後には規制対象となる。日本政府は、今回決定した追加規制物質を禁止する国内法整備において、条約上の例外用途を認めるか否か今後検討していく。また、今回の締約国会議では、主に溶媒として使用されているヘキサクロロブタジエン(HCBD)が非意図的生成の削減の対象に追加された。
一方、バーゼル条約は、特定の廃棄物の国境を越える移動等を規制している。前回の2015年締約国会議で、今後の見直しを前提に「電気電子機器廃棄物(E-waste)に関する技術ガイドライン」が採択され、E-Wasteの越境移動に関し廃棄物と非廃棄物の識別方法を明確化することが決まった。今回の締約国会議では、ガイドラインの検討を行うための専門家作業グループが中国主導で設置されることが決定した。同専門家作業グループは、世界各地域の専門家25名で構成される。
ロッテルダム条約(PIC条約)は、有害化学物質の輸出入に関する各国の意思決定手続を定めている。今回の締約国会議では、条約が対象とする規制物質に、カルボフラン、短鎖塩素化パラフィン、トリブチルスズ化合物、トリクロルホンの4物質群が新たに追加された。
【参照ページ】ストックホルム条約、バーゼル条約及びロッテルダム条約締約国会議の結果について
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