米環境保護庁(EPA)は5月1日、現在、2016年水インフラ改善法(WIIN)第2301条に基づき定められている石炭灰など石炭燃焼残渣(CCR)の廃棄に関するルールを緩和し、州政府に廃棄方法決定を授権する新たなガイドラインを作成中であることを明らかにした。これにより2016年水インフラ改善法での規制強化を実質的に無効にし、2014年時の法規制レベルに戻すことを目指す。
EPAが2014年に定めたCCR最終規則(Final Rule)では、石炭燃焼残渣(CCR)の廃棄について主流となっている2つの利用法の評価方法を開発、発表したが、EPAや州政府に対して直接規制や許認可を定める権限は与えず、係争時には民事裁判所で解決するという内容になっていた。しかし、2016年水インフラ法(WIIN)制定により、州政府に対しCCR最終規則に基づくルールを制定する権限を認めると同時に、ルールを制定しない州や州政府のルールをEPAが不適切と判断した州に対してEPAが直接ルールを設けることができることも定めた。
EPAは今回、自らの規制権限を放棄する意思決定を行うことについて、連邦主義のコンセプトに基づき州政府が規制主体となることが望ましいことや、州政府に対して法規制の柔軟性を与えることが重要であるという考えを見せた。
現在、気候変動政策に対し真っ二つに割れている米国では、石炭燃料を賛成する州政府と反対する州政府に二分している。トランプ政権で任命されたプルイットEPA長官は環境懐疑派で、EPAの規制を次々と緩和する政策を発表している。今回のガイドライン作成も、州政府にフリーハンドを与えることで石炭燃料に賛成している州政府が動きやすい環境を作りたいという思惑がある。
【参考サイト】EPA Promotes Cooperation with States to Facilitate Safe Disposal of Coal Ash
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