中国の国家発展改革委員会と同委員会直属の国家エネルギー局は4月25日、2016年から2030年までの長期的な国家エネルギー戦略をまとめた「エネルギー生産と消費革命戦略(2016-2030)」を公表した。同戦略は、2016年12月に策定され、すでに国務院でも承認されている。中国政府は、今年1月5日に「第13次5カ年エネルギー発展計画」を発表し2020年までの目標を公表していた。今回の戦略文書が開示されたことで、2030年までの展望が示された。
【参考】【中国】石炭から再生可能エネルギーへのシフトを鮮明に。国家エネルギー局「エネルギー発展計画」発表(2017年1月15日)
中国の将来のエネルギー需要について、国家発展改革委員会は「第13次5カ年エネルギー発展計画」の中で、2020年まで標準炭換算で50億トン以内に抑えるとの目標を示していた。今回の「エネルギー生産と消費革命戦略」では、新たに、2030年時点でも標準炭換算で60億トン以内に抑え、そのうち約20%を非化石燃料に、15%前後を天然ガスにする目標を示した。電力については、2030年までに非化石燃料発電割合を50%にするとした。また2030年までに二酸化炭素排出量を2005年比で60%から65%削減すると定めた。さらに、2050年には非化石燃料割合が50%を超えるものにするとした。
実現に向けた重点取組としては、国民を挙げての省エネ、エネルギー消費総量とエネルギー強度の抑制、全国統一の排出権取引市場整備などを含めた排出ゼロに向けたリーダーシップ、電力需要側のマネジメント強化、石炭エネルギーの二酸化炭素排出原単位の改善、天然ガス利用の促進、太陽光・風力・バイオマス・地熱・大型水力発電の建設加速、農村部での再生可能エネルギー・天然ガスへのエネルギー切替・石炭利用効率の改善、スマートグリッド化の促進、イノベーション支援、石油ガス・電力産業の市場経済化、エネルギー基準の改訂、一帯一路政策を通じた国際協力の13施策を挙げた。とりわけ、エネルギー消費総量とエネルギー強度の抑制については、今後地方政府ごとに割当が行われ、厳格に監督されていく見込み。
国家発展改革委員会は5月4日、同戦略の解説をウェブサイトで行い、石炭のクリーン化に向けては、大気汚染物質排出量を天然ガス並みに引き上げるとともに、石炭火力発電の過剰化を防ぐ方針を示した。また、炭素税(カーボンプライシング)を設定し、化石燃料が引き起こしている環境コストを適切に「内部コスト化」する方針も見せた。
【参照ページ】能源消费战略下发 2030消费总量控制在60亿吨标准煤
【政策】能源生产和消费革命战略(2016~2030)
【解説】对我国《能源生产和消费革命战略(2016—2030)》的解读和思考
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