米小売大手ウォルマートは4月19日、同社と商品を納入するサプライヤーに対して二酸化炭素排出量削減を要望する新たなプロジェクト「Project Gigaton」を発表した。同社は、全米の小売業界の中でもいち早く科学的根拠に基づく二酸化炭素排出量の削減目標を設定した企業。今回、同社自身だけではなく商品納入企業にも二酸化炭素排出量削減を求めていく方針を掲げたことで、バリューチェーン全体での削減に乗り出す。
同社はすでに、スコープ1(自社が直接排出する二酸化炭素排出量)とスコープ2(調達した電気・熱の生成で間接的に排出する二酸化炭素排出量)を2025年までに18%削減することを定めている。これに加え、今回の「Project Gigaton」では、スコープ3(スコープ2以外の間接排出量)に着目し、バリューチェーン全体(川上・川下双方のサプライチェーン)を通じて、2030年までに2015年比で1Gtの二酸化炭素排出量を削減する。商品生産、原材料生産、製品利用の全てが対象となる。
同プロジェクトでは、商品納入企業向けの二酸化炭素排出量削減への取組活動として、「排出」「エネルギー」「廃棄物」「パッケージ」「農業」「森林破壊」「製品利用」の7つのテーマを設定。商品納入企業に対してそれぞれの取組の自発的参加を促している。参加を表明する企業は、新設されたウェブサイト「Walmart Sustainability Hub」から参加申請ができる。
ウォルマートは、商品納入企業の参加を促すため、二酸化炭素排出量削減のための事例を紹介していく。また、商品納入企業支援活動を展開するため、世界自然保護基金(WWF)や環境保護基金(Environmental Defense Fund)などの環境NGOとも協働する。
食品や消費財メーカーにとって、全米で圧倒的な小売力を持つウォルマートに商品を置いてもらえるかは売上確保の生命線となる。今回のプロジェクト発表で、ウォルマートは、プロジェクトへの参加と商品購買の関係については何も述べていないが、当然影響があると考えるのが自然だろう。同社が商品納入企業に対して二酸化炭素排出量削減を要望し始めたことは、多くのメーカーや原材料メーカーにとって大きなインパクトとなりそうだ。
【参照ページ】Walmart Launches Project Gigaton to Reduce Emissions in Company’s Supply Chain
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