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【イギリス】公衆衛生庁、食品・外食業界に対し砂糖含有削減ガイドライン発表。肥満防止

 英国保健省公衆衛生庁(PHE)は3月30日、食品・外食業界に対して砂糖含有量の削減を要請する新たな「テクニカル・ガイドライン」を公表した。PHEは、砂糖の過剰摂取により肥満、特に児童肥満、が社会的問題となっていることを取り上げ、今回企業に自主的な削減を促すガイドラインを制定した。英国政府は、2016年にソフトドリンクに対する砂糖税制の導入を発表しており、今回のガイドラインでさらに砂糖減量政策をさらに推し進める。しかし、あくまで任意遵守のガイドラインのため、実効性はないとの声もすでに出ている。

 英国政府は2016年8月、肥満防止のための包括的な国家戦略文書「児童肥満防止アクションプラン(Childhood Obesity: A Plan for Action)」を公表。その中に、砂糖税の導入とともに、商品の砂糖含有量を2020年までに2015年比で20%削減、初年度となる2016年8月から2017年7月までの期間で5%削減する政策目標が盛り込まれた。今回のガイドラインは、その実現を食品・外食業界に対して強く要請し、推奨手法を提示する目的で発行された。

 ガイドラインの対象となったのは、子供が好む食品であるシリアル、ヨーグルト、ビスケット、ケーキ、パン、プリン、アイスクリーム類、チョコレート類、ジャム・バター類の9品目。それぞれについて、100g当たりの砂糖含有量削減目安と、製品1個当たりのカロリー上限目安を提示した。この実現に向け企業は、商品成分変更、製品サイズの小型化などに向け取り組むことが要請された。ガイドラインの作成にあたり、PHEは食品・外食業界との協議を重ね、元々は成分変更による砂糖含有量の削減を目指したが、味を維持するのが難しいという業界の反発を受け、製品サイズの小型化でも良いとした。9品目が含む砂糖のうち、ヨーグルトに使用される牛乳由来の糖分とドライフルーツに含まれる糖分は含有量計算の対象外とした。

 PHEの試算によると、このガイドラインが企業によって全面的に実施されると、毎年200,000トンの砂糖を該当する食品から減らし、肥満児童数も20%減少できるという。しかし、企業が実現に向けてどう取り組むかは未知数。児童肥満防止アクション制定時にも、PHEは政府に対し、児童向けの製品広告や、商品を複数個購入した際の割引商法などの抑制も提唱したが、最終稿には盛り込まれなかった。健康団体からは、実効性を危惧する声が出ており、さらなる政府の対応を求めている。

 医学雑誌ランセットに掲載された2013年のデータによると、幼児・小児や未成年の肥満度の世界的な判定基準値IOTFを適用した場合、英国における2歳から19歳までの幼児・小児および未成年の過体重・肥満の割合は、女児・女性では29.2%、男児・男性では26.1%だったという。この数値は、アメリカの29.7%&28.8%と比較すると若干低いが、ドイツの19.4%&20.5%、そしてフランスの16.0%&19.9と比較ずるとかなり高いことが解る。ちなみに日本は12.4%&15.3%で先進国としては非常に低い。

 PHEは今回の発表にあたり、すでに減量を求めている食塩、今回発表の砂糖に加え、2018年中には飽和脂肪酸の含有量削減を求めるガイドラインを予定していることを明らかにした。そのため、砂糖削減の代替として飽和脂肪酸を増量させることがないようにも呼びかけた。

【参考】【イギリス】政府の砂糖税の導入決定、飲料メーカーは法的措置を検討(2016年4月12日)
【参考】【イギリス】メイ政権、児童肥満防止のため全業界の砂糖含有量の20%削減を要求(2017年2月2日)
【参考】【国際】WHO、加盟国政府に「砂糖税」導入による甘味食品・飲料の消費量減少を提言(2016年11月3日)

【参照ページ】Guidelines on reducing sugar in food published for industry
【ガイドライン】Sugar Reduction: Achieving the 20%

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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