国際労働機関(ILO)は3月25日、欧州各国の労使関係や官民間の社会的対話の状況をまとめた報告書「Talking Through The Crisis: Social dialogue and industrial relations trends in selected EU countries(危機の中の対話:一部EU加盟国の社会的対話と労使関係トレンド)」を発表した。欧州では、2008年から始まる経済危機以降、労使関係や官民対話の重要性が増しているが、加盟国間でも実施状況が大きく異なり、経済危機からの回復状況も異なっている。ILOは、今回報告書をまとめ、加盟国間の取組内容や現状を比較検討し、今後の社会的対話のあり方検討の一助としたい考えだ。
報告書で分析されている国は、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、リトアニア、オランダ、スペイン、スロバキア、スロベニア、スウェーデンの計11ヶ国。報告書作成にあたっては、欧州委員会も協力し、またEUも活動資金を提供した。ここで言う、社会的対話とは、マクロ経済政策を検討するための企業経営者、労働者、政府の3者間、もしくはいずれか2者間の対話のことを指す。リーマンショックや欧州債務危機以降、欧州各国では社会的対話を活用しようという機運がが総じて盛り上がったが、対話が順調に行っている国と対話が崩壊した国とがあり、欧州経済が回復に転じた後も各加盟国レベルでは経済回復の明暗が大きく分かれてきてしまった。
報告書は、経済回復期に社会的対話が停滞してしまったことの理由として、政治上の不安定化が社会的対話を妨げていることと、経済危機の間に政府と市民社会の間の信頼関係が崩壊してしまい関係修復に時間を要していることを挙げている。一方、活用に成功している国は、社会的対話を担う政府機関に揚力な権限を置き、経済回復に必要となる労働改革に関する議論が順調に行っているという。政府と信頼関係が失われている国の中には、企業経営者と労働者団体の2者間協議が先に前進し、政労使
【参照ページ】ILO to launch new book on social dialogue trends in the EU
【報告書】Talking Through The Crisis: Social dialogue and industrial relations trends in selected EU countries
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