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【日本】環境省、電力事業の気候変動への取組状況評価結果を公表。石炭火力新増設に懸念表明

 環境省は3月21日、気候変動への対応のため電力産業の低炭素化を促進するため、電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価を実施し、結果を公表した。電力事業を所轄する経済産業大臣と気候変動対応政策を主導する環境大臣は2016年2月に、電力業界の取組の実効性を確保するため、取組の進捗状況を毎年評価することで合意。今回の報告が、その第1回目の評価結果。

 報告書では、電力事業の現状に対し、かなり踏み込んだ内容となった。まず、「諸外国では、石炭火力発電及びそれからのCO2排出を抑制する流れ」であると海外の情勢を踏まえた上で、「我が国における石炭火力発電からのCO2排出量等の実績値(2015年度)は、2030年度に達成が必要と考えられる推計値を既に超過。さらに現在、石炭火力発電所の新増設計画が多数存在し(合計約1950万kW)、仮にこれらの計画が全て実行され、稼働すると仮定すると、CO2 排出量は2030年度目標と整合する排出量(約2.2~2.3億トン)を7000万トン程度超過してしまう」と、石炭火力発電が依然推進されている日本の電力産業に対し危惧を表明した。

 また、日本国内では、石炭火力発電の中でも発電効率が高い「高効率石炭火力発電」を気候変動緩和に貢献する技術と捉える向きもあるが、環境省は今回の報告書の中で「最新鋭のものでもCO2排出量が天然ガス火力発電の約2倍」と言明し、否定的な見方を示した。

 さらに、新設計画が進む石炭火力発電所は2020年以降に運転を開始することから、「2030年度の削減目標の達成に向けた道筋を早期に明確化し、これを国全体で共有し、各主体が進捗を管理していかなければ、制約なく石炭火力発電所の新増設が進み、2030 年度の削減目標の達成が危うくなる」と、2030年までの長期の二酸化炭素削減計画を早期に作成し、石炭火力発電所の新増設に歯止めをかける必要があるの考えを示した。さらに「低効率の火力発電所については休廃止・稼働抑制を進めることも取組の一つ」と火力発電所の休廃止の可能性も匂わせた。

 火力発電の低炭素化で注目される炭素回収・貯蔵(CCS)技術の導入については、「CCSの導入には相当の準備期間が必要」「特に、2050年までの稼働が想定される発電設備については、事業者において、CCSの実用化に向けた技術開発を含め、今後の対策について継続的な検討が求められる」と早期の検討が必要となる見方を表明した。

 環境省は、先の経済産業大臣との合意の中で、「(発電による二酸化炭素排出量を)0.37kg-CO2/kWhの達成ができないと判断される場合には、施策の見直し等について検討するとされている。環境省としては、これも念頭に引き続き取組の状況を注視し、来年度以降の評価を行っていくものとする」と、今後も監視と評価を継続していく姿勢。

【参照ページ】電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価の結果について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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