エネルギー世界大手ロイヤル・ダッチ・シェルは3月9日、カナダのオイルサンド採掘権益を、現地のエネルギー大手カナディアン・ナチュラル・リソーシズに売却すると発表した。売却額は72億5,000万米ドル(約8,300億円)。2017年中頃までに売却が完了する見込み。シェルは、採掘コストの高いオイルサンド採掘から撤退し、同社が得意とする深海鉱区や集積ガスへの選択と集中を進める。2018年末までには総額300億米ドルの資産売却を行い、フリーキャッシュを厚くする。
売却対象となるのは、カナダ・アルバータ州で複数のオイルサンド鉱区の採掘権を持つアサバスカ・オイルサンド・プロジェクト(AOSP)。現在の権益保有構成は、ロイヤル・ダッチ・シェル子会社のシェル・カナダ・エネルギーが60%、シェブロン・カナダが20%、Marathon Oil Canada Corporationが20%。AOSPはまた、同州にあるスコットフォード・アップグレーダー(改質プラント)やクエスト・CCS・プロジェクトも保有している。AOSPの全体の原油生産能力は日量255,000バレル。
今回、ロイヤル・ダッチ・シェルとカナディアン・ナチュラル・リソーシズが締結する契約は、大きく2つの内容で構成されている。まず、ロイヤル・ダッチ・シェルは、同社保有のAOSP権益60%分と同社保有のピースリバー鉱区100%、及びその他のオイルサンド未開発鉱区のを全てカナディアン・ナチュラル・リソーシズに売却する。ロイヤル・ダッチ・シェルは売却により、カナディアン・ナチュラル・リソーシズから現金54億米ドルと同社株式31億米ドル分を受け取る。
もう一つの契約では、ロイヤル・ダッチ・シェルとカナディアン・ナチュラル・リソーシズは共同で、Marathon Oil Canada Corporationが保有するAOSP20%を折半で買い取る。各社12.5億米ドルずつを現金で支払う。これにより、AOSPの権益構成は、カナディアン・ナチュラル・リソーシズ70%、シェブロン・カナダ20%、ロイヤル・ダッチ・シェル10%となる。これにより、ロイヤル・ダッチ・シェルは、同社の石油コンビナートに近いスコットフォード・アップグレーダーとクエスト・CCS・プロジェクトの事業運営者の位置づけは維持しつつ、オイルサンド採掘事業者からは撤退する。さらに、契約の中には、ロイヤル・ダッチ・シェルが保有する10&のAOSP権益と、スコットフォード・アップグレーダーとクエスト・CCS・プロジェクトの権益20%を交換できるオプションも盛り込まれており、同社がこのオプションを行使すれば、AOSPの事業全体から完全撤退することとなる。
カナダのオイルサンドは、昨今撤退が相次いでおり、すでに米エクソンモービル、米コノコフィリップス、ノルウェーのスタトイルも撤退を発表している。
また、ロイヤル・ダッチ・シェルは3月24日、アフリカのガボン国内に保有する全ての石油・ガスのオンショア鉱区権益を、米カーライル子会社Assala Energy Holdingsに売却すると発表した。売却額は5億8,700万米ドル。
【参照ページ】Shell divests oil sands interests in Canada for net consideration of $7.25 billion
【参照ページ】Shell divests Gabon onshore interests
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