米国第2位のカーペットメーカー・モホークは1月、100%リサイクル可能なカーペットを発表した。カーペットは、通常、複数の繊維素材で多層的に編み込んでいくためリサイクルが非常に難しい。カーペットをリサイクルするためには、構成している繊維をひとつひとつばらばらにしていく作業が必要となり、その作業に多くに人件費や工程コストがかかるためだ。モホークはこの難題を、オランダの化学メーカーDSMと同国でリサイクル可能なカーペット製造を研究してきたNiagaの合弁会社「DSM-Niaga」との連携によって解決した。
DSM-Niagaが2016年11月16日、カーペットの100%リサイクルを可能にする新たな素材「Niaga® technology」の量産が可能になったことを発表した。このテクノロジーは、カーペット製造に必要な複数素材構成を、全て単一のポリエステル素材のみで生産できるというもの。単一素材の加工のみで複数素材が実現してきた複雑な機能を備えることができるため、カーペットが廃棄された際に繊維を解きほぐすことなくそのまま再利用ができる。また再利用の性能も優れており、廃棄カーペットから同質で同量のカーペットをそのまま製造できるため、資源をほぼ無限に再利用できる。EUを中心に現在「サーキュラーエコノミー」という資源を無駄にしない循環型社会というコンセプトが生まれているが、今回のNiaga® technologyはまさにそれに資するものとなる。原料であるポリエステルは原油由来の物質だが、再利用することで原油採掘を削減することもできる。
Niaga® technologyは製造過程でも優れている。積層加工プロセスにおいても、水を一切使わず、またエネルギー使用量も95%削減できる。従来のカーペットには、人体への悪影響のおそれがあるラテックスやPVC(ポリ塩化ビニル)、瀝青も一切使用しなくて済む。DSMとNiagaは2014年に「DSM-Niaga」を設立して以来、この技術の開発に勤しんできた。
モホークは、このNiaga® technologyを、新たなカーペットブランド「Airo」に用いた。Airoは、今年1月にロスアンゼルスで開催された「International Surface Event(TISE)」の中で商品発表がなされ、その場で製品デザイン・イノベーション賞を受賞。DSM-Niagaが開発した技術が、カーペット大手モホークとの協働を経て、結実した。
【参照ページ】DSM-Niaga ready for commercial scale production of 100%-recyclable carpets
【参照ページ】The First 100% Recyclable Carpets Are Here
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