FAO(国連食糧農業機関)のホセ・グラツィアーノ・ダ・シルバ事務局長は2月13日、気候変動に直面する農業危機の危険性を訴えた。気候変動を抑止する手を今打たなければ、これまで世界市民が続けてきた飢餓や貧困への努力が無に帰してしまうと警鐘を鳴らしている。とりわけ気候変動による影響を受けやいのは発展途上国の小規模農家だとし、発展途上国の小規模農家が気候変動に対応できるよう支援することが必要となるという見解を示した。
農業では気象情報が不可欠だが、現在約70か国では気象情報を伝える行政サービスが確立されていない。そのため発展途上国の小規模農家は、異常気象など突発的な対応ができないでいる。目下、FAOは世界気象機関(WMO)と協働で安価で操作が容易な気象情報提供サービスの構築に取り組んでいる。
また、農業技術面では、緑肥、窒素固定用カバークロップ、持続可能な土壌管理、混農林業、混合農業など様々な手法が誕生しているが、小規模農家は信用保証が得られず、また市場へのアクセスが少ないことから資金難に陥っており、最適な技術を導入できていない。不安定な土地保有、農業知識の不足、取引先変更に伴う高額費用などの問題も抱えている。
シルバ事務局長はさらに、水問題リスクも指摘。世界の小規模農家は今でも希少となりつつある水の確保に苦心しているが、気候変動は世界の水不足問題を一層加速させる。FAOとパートナー機関は国連気候変動枠組条約会議の中で、発展途上国を支援するために世界的な農業用水フレームワークを立ち上げた。またオンライン上で農業での持続可能な水使用を伝えるためのプログラムも開始した。
【参照ページ】FAO Director-General urges more support to help small farmers adapt to a changing climate
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