欧米の機関投資家16機関は2月15日、G20参加国政府に対して化石燃料への補助金を撤廃するよう要請する共同声明を発表した。共同声明では、化石燃料が世界の気候変動リスクを高めていると指摘。G20各国政府に対し、化石燃料分野への補助金や政府系金融機関からの投融資を2020年までに全廃することを求めた。
今回共同声明に署名したのは16機関、運用資産総額は2.8兆米ドル(約320兆円)。
- 英国環境保護庁年金基金(英国・公的年金基金)
- Bayerische Versorgungskammer(ドイツ・公的年金基金)
- Actiam(オランダ・運用会社)
- Aegon Asset Management(オランダ・運用会社)
- Aviva Investors(英国・運用会社)
- EdenTree Investment Management(英国・運用会社)
- Inflection Point Capital Management(英国・運用会社)
- Legal and General(英国・運用会社)
- Trillium Asset Management(英国・運用会社)
- Dana Investment Advisors(米国・運用会社)
- First Affirmative Financial Network(米国・運用会社)
- Trilogy Global Advisors LP(米国・運用会社)
- Friends Fiduciary Corporation(米国・宗教系運用会社)
- KBI Global Investors(アイルランド・運用会社)
- La Francaise(フランス)運用会社
- Australian Ethical Investment(オーストラリア・運用会社)
G7参加国はすでに化石燃料分野への補助金撤廃で合意している。2016年のG7北九州エネルギー大臣会合でも、共同声明「グローバル成長を支えるエネルギー安全保障のための北九州イニシアティブ」の中で、「我々は、無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金の段階的廃止に引き続き専念するとともに、全ての国に対し、2025 年を期限に同様の取組を奨励する。」と定めている。同じく2016年のG20杭州サミット共同声明の中でも低炭素社会を推進して宣言が盛り込まれた。その上で、今回機関投資家らが表明した共同声明は、G20参加国が化石燃料への補助金と政府系金融機関の投融資を2020年までに全廃する期限を明確にするという内容を、今年のG20ハンブルグサミットでの共同声明に盛り込むことを求めている。さらに2018年までに化石燃料補助金の状況をG20加盟国が相互にチェックし合う仕組みを整備する内容についても、共同声明に盛り込むよう求めた。
化石燃料への補助金撤廃という国際合意に対し、日本政府は、高効率火力発電は低炭素経済を実現するための技術であり、G7で合意している「化石燃料からの補助金撤廃」には該当しないという姿勢をとっている。一方、今回の機関投資家らの共同声明の中には、高効率火力発電が該当するか否かについては明確な言及はない。
【参照ページ】G20 Must Phase Out fossil fuel Subsidies by 2020
【共同声明】Statement: G20 governments must lead in phasing out subsidies and public finance for fossil fuels - to accelerate green investment and reduce climate risk
【G7共同声明】G7エネルギー大臣会合共同声明
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