英国放送協会BBCは2月9日、4月3日以降にBBCテレビで放送するすべての番組で、番組制作に要したカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)の測定を行うことを発表した。測定はメディア制作物の二酸化炭素排出量を計測するオンラインツール「Albert carbon calculator」を活用する。測定結果はBBCテレビ委員会に提出し、気候変動影響の少ないテレビ放送のベストプラクティスを模索していく。
Albert carbon calculatorは、番組制作の準備段階でデータを入力することで、自動的に計算されたフットプリントの予測値や二酸化炭素排出量の少ない似た番組を教えてくれる。フットプリントに優れた企業は、同団体から認証を得ることもできる。すでに300社以上2,000人のユーザーがAlbert carbon calculatorに登録しており、63番組が認証を取得した。BBCが放送している番組は、このツールを用いたフットプリント測定を実施しているが、今回それを全ての番組で取得することを意思決定した。検討の過程では、独立系制作プロダクションが加盟する業界団体Pact(Producers Alliance for Cinemaand Television)の後押しを得ることもできた。
Albert carbon calculatorは、2008年に放送された子ども向けバラエティ番組「ブルーピーター」向けに社内でフットプリントの測定を試みたことを契機に開発が進められたという。2011年からは英国映画テレビ芸術アカデミー(BAFTA)と Albertとのコンソーシアム、BAFTA Albet Consortiumが管理運営を行っている。ツールの利用は無料。ツールの信頼度は高く、英国以外でも活用されている。
認証済みの番組は1つ星から3つ星までに格付され、「ブルーピーター」、BBCの朝の報道番組「BBCブレックファースト」、1985年以来の長寿番組で知られる連続テレビドラマ「イーストエンダーズ」、NHKで放送され高い評価を得ている「ダウントンアビー」のシリーズ6などが、すでに3つ星を獲得している。「ダウントンアビー」では、LEDランプやLEDパネルの使用と共に、より計画性のあるロケーション撮影の実施等が成果に繋がったという。
BBCのサステナビリティ・プロジェクト・マネージャーHattie Park氏によると、BBCの番組制作で排出される二酸化炭素は平均1時間当たり約12t。英国では、メディア業界でも、気候変動緩和に向けた努力が始まっている。
【参考ページ】BBC launches mandatory carbon tracking scheme
【参考ページ】All BBC TV programmes to track their carbon footprints
【ツール】Albert carbon calculator
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