デンマークの国営電力会社DONG Energyは2月2日、2023年1月1日までに石炭を用いた火力発電を停止することを決定した。石炭は現在世界で最も使用されている電力源で約40%を担っているが、最も二酸化炭素を排出するエネルギー源でもある。DONG Energyは、今回の意思決定の理由について、持続可能なエネルギー社会を推進するためとしている。時期を定めた石炭火力発電の停止を打ち出したのは、欧州エネルギー大手の中で同社が初めて。
DONG Energyは、今日までに石炭使用量を2006年比で73%削減したているが、これをさらに推し進め2023年までに石炭火力発電所の操業を完全に停止する。その代替エネルギーとしてバイオマス発電を強化するとともに、これまでも注力してきた洋上風力発電も推進する。
同社は、2002年より同社のヘアニング発電所やアヴェドア発電所で木質ペレットや木質チップを用いたバイオマス発電に取り組んでいる。2016年にはデンマーク・オーフス近郊のStudstrup発電所やコペンハーゲン近郊のアヴェドア発電所で、100%木質ペレットとわらを電源とした発電に切り替えた。また2017年発にはフレゼリシア近郊のスケアベック発電所でも100%木質チップ由来の発電に切り替わる予定だ。
現在稼働している石炭火力発電所は、アスネス発電所とエスビャウ発電所の二つ。DONG Energyは、この2つの発電所の電源を石炭から木質チップへ切り替えることを視野に入れ、カロンボー地区とエスビャウ地区の電力購入者と協議を重ねている。各地域への石炭電力の供給契約はそれぞれ2017年と2019年に終了させる目処が立っている。
デンマークの二酸化炭素排出量は、同国の努力により、2006年から2016年の10年間で約2500万トン減少。そのうちDONG Energyの削減分削減分が53%を占める。DONG Energyの年間二酸化炭素排出量は2006年に比べて1,800万t減少しており、これは自動車900万台の年間二酸化炭素排出量に匹敵する。石炭火力発電を停止することで、DONG Energyの2023年の二酸化炭素排出量は年間50万t程度にまで下がる見込みで、主に冬季など電力需要ピーク時と電力不足時のガス火力発電によるものに限られる。
代替電源として用いるバイオマス発電に使用される木質チップでも厳しい基準を設定していく。バイオエネルギー源として用いるのは、持続可能な方法で管理された森林で採取された枝や間伐材、または木材加工や家具製造工程から生じる鋸屑を用いる。
現在のDONG Energyの株主構成は、デンマーク政府58.8%、ゴールドマン・サックス子会社のNew Energy Investment17.9%、デンマーク民営電力会社SEAS-NVE10.8%、デンマーク労働市場付加年金(ATP)4.9%、デンマークPFA年金基金(PFA)1.8%、その他はデンマーク地方電力会社やDONG Energy従業員が保有。2014年にゴールドマン・サックスが出資参加した祭に、DONG Energyは2018年に株式上場させることが決定しており、上場後もデンマーク政府が50.1%の過半数を保持したままとなることが政府決定で決まっている。
【参照ページ】DONG Energy to stop all use of coal by 2023
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