グリーンボンドのガイドライン作成を進める国際NGOのCBI(気候債券イニシアチブ)は1月25日、グリーンボンド基準「Climate Bonds Standard(CBS)」を改訂し、第2.1版(v2.1)を発表した。CBIはこれまで、グリーンボンドの分野の世界的なデファクト・スタンダードとなっている国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則(GBP)」をもとに、より詳細なグリーンボンド発行基準「Climate Bond Standard(CBS)」を提供している。前回の第2版は2015年12月21日に発表された。
今回の第2.1版での変更点は主に2つ。まず、CBSが対象とする負債性資本調達手段の対象を、従来の「債券(Bond)」から拡大し、グリーンボンド・ファンド、転換債券、ドイツで普及している債務証書(Schuldschein)、バイラテラル・ローン、協調ローン、ローン・ファシリティ、コマーシャル・ペーパー、イスラーム債(Sukuk)も含めるものの変更する。CBSが参照しているICMAのGBPは、対象を、リコース債、ノンリコース債、プロジェクト債、仕組債の4つの債券に限定しており、CBIはICMAも前述のその他負債性商品を含めていくことを期待している。
2つ目の主な変更点は、グリーンボンドの発行認証に関するもの。前回の第2版では、グリーンボンドの発行体は、発行前と発行後に第三者認証を取得することを要求しているが、グリーンボンドの発行現場では昨今、同一の発行条件のグリーンボンドを複数回発行するオペレーションも生まれており、毎回認証を取得するフローが冗長、煩雑になってきている。そのため、グリーンボンドを年に2回以上複数年に渡り発行する場合に認められる「プログラム認証」制度を今回新設した。
プログラム認証では、初回のグリーンボンド発行時の手続きは今までと変わらないが、同一プログラムの中で二回目以降の発行時に手続きが簡素化される。二回目からは、発行時毎の第三者認証取得は不要となる。それに替わり、発行体のグリーンボンド発行体制が前年から変更していないことを確認するための年に1度の第三者認証が必要となる。発行後の第三者認証と報告手続きには変更はなく、発行時毎に行わなければならない。
今回発表された第2.1版は、第2版の手続きに加え新たなオプションを提示するものとなっているため、第2版のもとで発行されたグリーンボンドについて発行体が手続きやオペレーションを変更する必要はない。しかし、第2.1版では、その他、ICMAの最新版のGBPに対応するための修正、特定セクター用基準リストにCBIが2016年10月に発行した「ウォーターボンド基準」を追加、細かい用語の修正などを行っているため、今後の発行体に対しては第2.1版を参照するよう呼びかけている。
【参考】CBI、水インフラ事業向け債券「ウォーターボンド」のガイドライン発表
【参照ページ】LAUNCH: Climate Bonds Standard V2.1: More options for Issuers: Expanded range of Debt Instruments: New Programmatic Certification process
【基準】Climate Bonds Standard V2.1
【負債性商品リスト】A List of Debt Instruments for Certification under the Climate Bonds Standard version 2.1
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