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【ヨーロッパ・アメリカ】大手年金基金と運用会社、投資先企業の気候変動影響分析でイニシアチブ発足

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 欧米の主要なアセットオーナー13機関と運用会社5社は1月11日、気候変動対策のために低炭素経済へ移行する動きが彼らの投資運用にどのような影響を与えるかを検討、共有するためのイニシアチブ「Transition Pathway Initiative(TPI)」を立ち上げた。イニシアチブは、英国環境保護庁年金基金と英国国教会National Investing Bodiesが主導し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のグランサム研究所がバックアップしている。データはFTSE Russelが提供する。

 このイニシアチブに参加するアセットオーナーは、英国大学退職年金基金(USS)、英国地方年金基金フォーラム(LAPFF)、英国環境保護庁年金基金、英国鉄道年金の運用部門(PRMI Railpen)、英国のWest Midland Pension Fund(WMPF)、英国国教会財務委員会、英国国教会年金投資委員会、英国国教会基金、英国メソジスト教会中央財務委員会、米国のWespath Benefits and Investments、スウェーデン公的年金基金のAP1、AP3、AP4の13機関。合計の運用資産総額は3,700億ポンド(約53兆円)。

 また運用会社からは、Aviva Investors、BNP Paribas Investment Partners、Hermes Investment Management、PGGM、Standard Life Investmentsの5社が参画する。合計の運用資産総額は1.7兆ポンド(約240兆円)。その他、年金受託機関世界大手BNP Paribas Securities Services(受託資産総額9兆米ドル)も活動を支援する。投資先へのエンゲージメント請負サービス提供のHermesEOSも同社のツールを提供する。

 イニシアチブでの事前リサーチでは、まず石油ガス業界と電力業界の分析がなされた。事前リサーチでは、石油ガス企業と電力会社40社のうち39社は気候変動を事業課題だと認識し、40社中28社は気候変動方針を取締役会で確認しつつも、経営戦略という高い次元で検討している企業は数社しかなかった。電力業界は石油ガス業界よりも検討が進んでいるものの、定量的な二酸化炭素排出量削減目標を掲げている企業は40社中14社、排出量の第三者監査を実施している企業は40社中18社と少ないことも報告された。ESG課題を経営幹部の報酬に反映させている企業は40社中34社あった。

 今後数ヶ月に渡り段階的に他の業界や個別企業に関する分析を進めていく。検討で用いられる分析手法は、金融安定理事会(FSB)の気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)が推奨する情報開示のあり方に準拠するものとなっている。

【参考】金融安定理事会のタスクフォース(TCFD)、気候変動関連財務情報開示の最終報告書案を発表(2016年12月21日)

 今回は政府や教会関連のアセットオーナーが主導しているものではあるが、気候変動が与える投資先企業の分析が、欧米の機関投資家の中では実施され初めている。

【参照ページ】THIRTEEN LEADING INTERNATIONAL ASSET OWNERS LAUNCH MAJOR INITIATIVE TO EMBED CLIMATE CONCERNS IN INVESTMENT DECISIONS

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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