OECD(経済協力開発機構)は、「OECD多国籍企業行動指針」のデューデリジェンス手引書「OECD Due Diligence Guidance for Responsible Business Conduct」と補足資料「Companion to the Due Diligence Guidance」のパブコメ募集を開始した。2017年2月9日までパブコメを受け付ける。
これら2つのドキュメントは、OECDが制定している「OECD多国籍企業行動指針」に対し、自社の実施状況を自己査定するための手引書。この行動指針は「多国籍企業」という名称が付いているが、企業規模や業界を問わず活用が推奨されている。行動指針では、事業活動、サプライチェーン、その他の関連活動が及ぼす負の影響を最小化するとともに、経済、環境、社会の3者の発展を促すことを要求している。
今回パブコメ募集を行う2つのドキュメントのうち、「OECD Due Diligence Guidance for Responsible Business Conduct」、「OECD多国籍企業行動指針」の内容をより実務に照らし合わせて詳細な解説が記されたガイダンス書。文書は第1部と第2部で構成されており、第1部では一般的なコンセプトを、第2部では具体的なデューデリジェンスステップを解説している。ガイダンスは、「責任ある企業行動(RBC)」のインパクトとして、雇用創出、人的資本発展、投資促進、イノベーション強化など持続可能な発展への貢献というプラスの側面がある一方、人権、労働条件、環境、賄賂、情報公開、消費者利益等でマイナスのインパクトを及びし得るとの観点に立ち、それぞれの項目で遵守するべき内容を示した。第2部の具体的ステップでは、
- 1 責任ある企業行動を企業理念と経営システムに組み込む
- 2-A 責任ある企業行動に反する負の影響を特定し査定する
- 2-B 責任ある企業行動に反する負の影響の発生を防ぐ又は最小化する
- 2-C 実施した施策の成果をチェックする
- 2-D ステークホルダーとの対話を行う
- 3 適切な時期に改善策の提供や改善に向けた協力を行う
2つ目のドキュメント「Companion to the Due Diligence Guidance」は、ガイダンスの補足資料。先進事例や実践のヒントなどが紹介されており、状況に応じて常に更新されていく。
2つのドキュメントは、今回のパブコメで寄せられた意見を下に、2017年中に最終版を作成、発行される。完成後には「OECD多国籍企業行動指針」の政府相談窓口である「NCP」での紛争解決プロセスにも用いられる。
【参考】国際人権法と企業の人権問題 〜Jパワー・伊藤忠商事・パタン石炭火力発電所の事例〜(2016年8月17日)
【参照ページ】Public Consultation: Due Diligence Guidance for Responsible Business Conduct
【機関サイト】OECD Responsible Business Conduct
【ガイドライン】OECD Guidelines for Multinational Enterprises
【ガイダンス】OECD Due Diligence Guidance for Responsible Business Conduct (Draft 2.1)
【補足資料】Due Diligence Companion (Draft)
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