フィリピン証券取引委員会(SEC)と世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が策定したフィリピン証券取引所の上場企業向けのコーポレートガバナンス・コード改訂版が1月1日発効した。今回の改訂版には、取締役会の責任強化、株主保護の強化、財務及び非財務情報の開示強化などが盛り込まれている。フィリピンのコーポレートガバナンス・コードも日本と同様「Comply or Explain」ルールに基づくもの。遵守しない原則がある場合は、毎年提出が義務付けられている「コーポレート・ガバナンス報告書」の中で、遵守しない原則とその理由を説明しなければならない。今回の改訂版については、フィリピン証券取引所の上場企業は全て2017年5月3日までに遵守項目を示す「Manual on Corporate Governance」をフィリピン証券取引委員会に提出しなければならない。
フィリピンのコーポレートガバナンス・コードの歴史は古く、初めて同コードが制定されたのは2002年。背景には、1998年に世界銀行が社会開発や金融機関支援のためフィリピンに約30億米ドル融資をしたことをきっかけに、世界銀行がコーポレート・ガバナンス強化を要求したことがある。その後、コーポレートガバナンス・コードは度々改訂され、現在では全部で16原則で構成されている。今回の改訂では、G20やOECD加盟国が定めるコーポレートガバナンス・コードや、ASEANコーポレートガバナンス・スコアカードを参照し、国際基準レベルを意識したものとなっている。改訂の内容としては、取締役3名以上もしくは取締役の3分の1以上を社外の独立取締役とすることを求めるガバナンスの向上が盛り込まれた。また、非財務情報やサステナビリティに関する情報開示についても、GRIやIIRC、SASBなどを参照しつつサステナビリティ報告を強化していくことや、貧困、格差、失業、気候変動など世界的課題に対して貢献する役割を果たしていくことも謳った。
国際金融公社とフィリピン証券取引委員会は、投資環境や規制分野での幅広い提携を結んでおり、今回のコーポレートガバナンス・コード改訂もその提携作業の一環。国際金融公社はその他30ヶ国以上でコーポレートガバナンス規制策定の支援を実施している。
【参照ページ】PHILIPPINES REVISES CORPORATE GOVERNANCE CODE FOR PUBLICLY LISTED COMPANIES
【コーポレートガバナンス・コード】CODE OF CORPORATE GOVERNANCE FOR PUBLICLY LISTED COMPANIES
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