台湾の立法院(国会に相当)は1月11日、電気事業法(電業法)改正案が本会議で可決され、成立した。改正法では2025年までに台湾で稼働している原子力発電所を完全停止させるとともに、現在台湾唯一の電力事業者である「台湾電力」を、発電、送配電・電力小売に2分割し、発電と電力小売の分野を自由化して新規参入を求めていくことが決まった。これにより台湾の脱原発方針が公式のものとなった。
【参考】蔡内閣、2025年までの脱原発、再生可能エネルギー20%を閣議決定。太陽光と洋上風力に投資(2016年11月7日)
今回の法改正で決定したのは主な内容は8項目。まず電力自由化では、今後1年から2年半以内に、再生可能エネルギー発電事業と再生可能エネルギー小売事業を自由化し、再生可能エネルギー発電事業者が直接電力を販売できるようにする。また、6年から9年以内に台湾電力を発電事業者と送配電・小売事業者に2分割し、それをホールディングカンパニーが統括する形に再編する。
再生可能エネルギー発電事業者は、電力送配電に関する助成金やサービス提供が受けられる特権が供与される。しかし、台湾電力に売電しない直接販売分に関しては自前で電力供給設備を調達しなければならない。
電力小売が自由化された後の政府等公共部門の電力調達に関しては、二酸化炭素排出量の少ない電力を優先的に購入することが義務化される。二酸化炭素排出量の少ない再生可能エネルギーの一定割合の購入も義務化される。
電力自由化に伴い電力取引プラットフォームを整備し、電力取引情報の共有化を進める。
また自由化に伴う電力価格の乱高下に備え、中央政府が「電価穏定基金」を設立し、電力価格の安定化措置をとる。
公共事業、学校、社会福祉団体などは特別低価格で電力供給が受けられるようにする。
電力開発協力助成金の運用を透明化する。
違反者に対する最高2,500万台湾ドル(約9,000万円)の罰則規定も設けられた。
福島第一原子力発電所事故以降、台湾では脱原発の社会機運が高まり、前馬英九国民党政権時代に推進しようとした新原発「第四原発」に対しては激しい反対運動も起こっていた。新たに政権を握った蔡英文民進党政権は脱原発の姿勢を早期に掲げ、世論を味方につけ、今回の脱原発に法制化に漕ぎつけた。今後は、現在4%の再生可能エネルギー発電割合を2025年までに25%にいっきに引き上げる。
【参照ページ】電業法大翻修!2025非核家園入法 綠電自由化
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