ESGリスクコンサルティング世界大手スイスのRepRiskは12月14日、小売業界トップ企業の状況をまとめたESGリスク報告書を発表した。同報告書には、世界の小売企業大手10社の2016年12月時点でのリスク格付とともに、小売業界全体のESG関連課題や注目トピックを掲載している。
RepRiskは、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する企業情報を独自に収集しデータベース化しており、すでに世界75,000社と18,000プロジェクトのデータが集まっている。今回はその中で小売業界を対象とし、世界トップ10社についてはリスク格付を公開した。それ以外の企業の格付については、同社が有料サービスとして提供している。
小売世界大手トップ10(リスク度昇順)
- COOP(スイス) A
- ミグロス(スイス) BBB
- アルディ(ドイツ) BBB
- リドル(ドイツ) BBB
- カルフール(フランス) B
- テスコ(英国) B
- ターゲット(米国) B
- アリババ(中国) CCC
- ウォルマート(米国) CCC
*AAA-Aはリスク低、BBB-Bはリスク中、CCC-Cはリスク高、Dはリスク非常に高い
小売業界のESG関連課題
- 国内法の違反
- 詐欺
- 劣悪な労働条件
- サプライチェーンに関する課題
- 汚職、贈収賄、強要、マネーロンダリング
小売業界の注目ESGトピック
- プライバシー侵害
- 移民労働者
- 過失
- 絶滅危惧種
- 先住民の権利
*上記リストの課題およびトピックは過去2年間のESGリスクを基に集計
小売業界の中では、アパレルや食品分野で工場労働者の人権違反が多く指摘されている。RepRiskの報告書の中でも、タイの漁業事業者の奴隷労働慣行や北朝鮮での長時間労働、中国での劣悪な労働環境などが具体例として挙げられている。サステナビリティに配慮している企業の中でも、英小売大手マークス・アンド・スペンサーやアパレル大手ZARAが、トルコで難民が絡む児童労働や違法労働に従事する工場から製品を調達していることが非難された最近の事例を紹介している。
今回の報告書では、日本の小売企業のリスク度は公開されていないが、2017年は小売業界とそのサプライチェーンの人権が大きくクローズアップする1年になると言われており、日本の小売企業も予断を許さない状況が続くと思われる。
【参照ページ】RepRisk Sector Benchmarking Report:Retail Sector
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