紙パルプ世界大手アジア・パルプ・アンド・ペーパー・グループ(APP)は、CSRサプライチェーン認定機関EcoVadisから最高ランク「ゴールド」の評価を取得したと発表した。同社は、紙パルプ業界のサプライヤー部門の中で世界上位4%以内に入るという高い評価を受けた。
APPは、インドネシアの大財閥グループの一つ、シナール・マス・グループ(中国名:金光公司集団)のグループ企業。シナール・マス・グループは、福建省泉州出身華人系インドネシア人エカ・チプタ・ウィジャヤ(黃亦聰)氏が1970年にインドネシアで創業。同社は、紙パルプ、パームオイルやココナッツオイルなどの食用油、金融、保険、不動産など多角的事業を展開している。シナール・マス・グループの中核会社は1972年に設立されたアジア・パルプ・アンド・ペーパー・グループで、現在はインドネシアと中国の工場で生産、紙パルプの分野では世界的に大きなシェアを持っている。日本では、1997年に販売会社としてエイピーピー・ジャパン(APPJ)が設立され、今では印刷用紙、情報用紙、板紙、コピー用紙の領域で日本でのシェアも高い。AAPJは2016年4月にインドネシア企業として初めて日本経済団体連合会(経団連)に入会した。
今回の評価を行ったEcoVadisは、世界110ヵ国、150業種に及ぶサプライヤー企業の環境的・社会的慣行を改善することを目的に設立され、グローバル企業を中心に依頼を受け、サプライヤーのCSR評価を代行実施している。EcoVadisから調査対象として指名された企業は、EcoVadisのシステムにオンライン登録をし、求められた質問項目への回答、関連書類の提出などをすることが要求される。調査項目は環境、社会、倫理、サプライチェーンなど広範に渡り大きく21項目あるが、最終的に調査される内容は業界や国によって異なる。EcoVadisは提出された書類と質問項目への回答をもとに独自評価を行い、ゴールド、シルバー、ブロンズ、評価なしの4段階で評価される。
APPは今回、環境パフォーマンス部門では紙パルプ業界対象企業中上位5%以内、公正な事業活動とサプライチェーン部門では同上位15%以内に入るという高い評価を得た。同社はこれまでも環境保全に向けた取組を実施してきており、環境パフォーマンスの向上や生物多様性の保全、地域コミュニティの権利の保護をさらに向上させるため、2012年6月には「持続可能性ロードマップ ビジョン2020」を、2013年2月には「森林保護方針(Forest Conservation Policy(FCP)」を制定するなど、自然林伐採ゼロの誓約のもとに、自社の植林木による製品づくりを徹底しているという。さらに2014年9月には、国連気候変動サミットの「森林に関するニューヨーク宣言」に製紙会社としては唯一署名を実施。2015年12月には、インドネシアの森林保護・再生支援を目的とした「ベランターラ基金」の立ち上げも行っている。
APPは、今回の「ゴールド評価」について、「持続可能性ロードマップ ビジョン2020」で掲げた持続可能な原料調達、温室効果ガスの削減、生物多様性の保全、地域の活性化、並びに「森林保護方針」の成果が評価された結果だと伝えている。
【参照ページ】EcoVadis社によるサステナビリティ調査において「ゴールド」評価を取得
【参照ページ】EcoVadis 評価 - よく寄せられる質問
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