宗教財団機関投資家が加盟する全米機関ICCR(Interfaith Center on Corporate Responsibility)は12月14日、米国の大手上場企業100社以上に対して書簡を送付し、今後2年間で科学的根拠に基づいた温室効果ガス(GHG)削減目標(SBT、science-based target)の設定を行うことを要請した。ICCRに加盟するのは全米のキリスト教教会を中心とする約300の宗教団体。宗教的寄付やお布施を管理する米国の宗教団体は株式投資を活発に行うなど巨大な機関投資家として知られており、ICCR加盟300団体の合計資産総額は約2,000億米ドル(約23兆円)にも上る。今回の書簡は、SBTが重要だとする60団体の共同署名が付されている。
ICCRは、宗教団体の機関投資家としての社会的責任を強化していくために1973年に設立。社会的責任投資(SRI)と呼ばれる初期ESG投資を推進してきな中心的な存在として活動してきた。今でも毎年、気候変動、水管理、食糧問題、人身売買、ヘルスケアへのアクセス、金融へのアクセスなどのテーマで毎年企業に対してアクションを要請してきている。
今回の書簡が送付された企業には、GM、ボーイング、3M、ダウ・ケミカル、インテル、マリオット・インターナショナル、ヒルトン・ワールドワイド、マクドナルド、ペプシコ、オラクル、ヤフー、ティファニー、ホーム・デポ、モルガン・スタンレーなど米国大手企業が含まれている。日本の山洋電気の米国現地法人も対象となった。書簡の中では、CDPに対して提出している毎年の回答の中でSBTの実施をコミットする表明をしていることなどを引き合いに出し、コミットメントの実施をICCRとして強く要請する内容などが書かれている。
ICCRはさらに、CDPが高い温室効果ガス削減目標を設定している企業は財務パフォーマンスが高いことや、ウォルマートやグーグル、アメリカン・エレクトリック・パワーなどが米政権の行方にかかわらず低炭素に向けた取組を継続する方針を表明したと12月8日のウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じたことにも触れ、企業に対して温室効果ガス削減の野心的な目標設定を迫った。書簡では、科学的根拠に基づく目標設定(SBT)を実施することで、ビジネスモデルを変換させるための戦略的投資、新たな市場開発、将来の政府規制への備え、リスクや機会の特定につながると効果を強調した。
【参照ページ】In Fight to Reduce Carbon Emissions, Investor Coalition Seeks to Turn Corporate Promises into Action
【書簡】Letter
【機関サイト】Science-based Targets.org
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