米国農務省(USDA)のオーガニック食品分野の諮問機関である、全米オーガニック基準委員会(NOSB)は11月18日、遺伝子組換え(GMO)食品を、農務省傘下の全米オーガニックプログラム(NOP)が認定しているオーガニック食品認証(USDAオーガニック)の対象から外すことを勧告する意見を全会一致で採択し、農務省に送った。NOSBは、オーガニック食品生産法によって定められた機関で、オーガニック食品分野の関係者15名で構成されている。
勧告意見書では、オーガニック食品関係者の多くからGMO食品に関する懸念が出ている状況を踏まえ、農務省に対してGMO食品に対する規制を明確にすることを強く求めている。とりわけ、GMO「汚染」に対する責任を明確にするための政策を定めること、バイオ技術を活用した種子、花粉、農作物を用いない農法のベストプラクティスを強化すること、オーガニック食品や非遺伝子組換え食品の閾値検査の研究やデータ収集を支援することをなどを求めた。
国際環境NGOのFriends of the Earth(FOE)によると、今回NOSBが除外を求めるGMOには、合成生物学という新たな手法も含まれるという。合成生物学とは、DNA(遺伝子)を人為的に操作し、通常は存在し得ない有機体を生成、もしくは既存の特性を出現できないようにする手法。合成生物学を用いて生成された成分は食品や消費製品に含有されるものの、適切な表示が行われない。これらの成分に対し適切な監督は少なく、消費者が含有を認識できないものが多いという。
また、合成生物学に基づく栽培については、環境被害の可能性も指摘されている。合成生物は生態系に対し、長期間に渡る予測不可能な影響を与える可能性があるという。また、既存の農家に対する影響も指摘されており、例えば合成バニラ香料が誕生したことにより、従来のバニラ香料が淘汰され、発展途上国に多いバニラ香料生産者の生活を脅かしているという。合成生物学に基づく成分はすでに化粧品や日用品にも使用されており、例えばアミリ・バイオテクノロジー社が製造する合成生物スクワランは、およぼ300の化粧品製品に使われているという。
食品や化粧品メーカーからは、すでに合成生物学を用いた素材を使用しないことを宣言するとろこも出てきている。ベン・アンド・ジェリーズ、ゼネラル・ミルズ、ネスレなどは、合成生物学に基づくバニラ香料を用いないと宣言。ヌティビアやドクターブロナーズは、全ての合成生物成分の使用しないことをことを宣言している。
【参照ページ】National Organic Standards Board Materials/GMO Subcommittee Proposal Report to the USDA Secretary on Progress to Prevent GMO Incursion into Organic
【参照ページ】Organic standards will exclude next generation of GMOs
【参照ページ】New GMOs Kicked Out of U.S. Organics Guidelines
【機関サイト】NOSB
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