欧州委員会は12月1日、農作物やその他主なコモディティ商品への投機を制限するためのEU規則案を採択した。欧州委員会は、コモディティ商品への投機により、コモディティ価格が不安定化し、食糧の安定的な供給が妨げられることを危惧しており、EU規則への制定に着手していた。
今回まとめられたEU規則案は2つの分野で構成されている。1つ目は、2014年6月に制定された第2次金融商品市場指令(MiFID II)の施行ルールとして整備されるもので、コモディティ商品への持ち高(ポジション)を制限するというもの。規則案では金融取引トレーダーに対しコモディティ・デリバティブ商品へのポジションの上限値を設定し、金融取引業者のコモディティ取引量を制限する。上限値は、コモディティ市場の状況や非流動性(Illiquid)ポジションの状況などを考慮して設定される。市場の変動(ボラティリティ)の適正値の設定やボラティリティの監査方法などは各EU加盟国の競争当局(NCA)が検討する。このルールにより、現在コモディティ金融市場で設定されているポジションの35%が規制に抵触すると見られている。
もう一つは、金融商品取引事業者以外の事業会社に対するコモディティ投資を規制するもの。エネルギー事業者や食品事業者などに対し、コモディティ・デリバティブ取引ができる上限値を設定する。このルールについては、欧州証券市場監督機構(ESMA)のテクニカル基準の改正による制定が検討されており、事業会社の投下資本に応じた上限値設定がなされる予定。具体的には、事業会社がコモディティ投機をする際に「資本要件規則(CRR)」に基づき設定が義務付けられた資本金額と実体事業に投じられた資本金額の比率などが考慮される。
今回のEU規則案は欧州議会とEU理事会に送られ、3ヶ月以内に採否を決定される。
【参考ページ】European Commission adopts rules to strengthen regulation of commodities markets
【参照ページ】New EU market rules leave millions of people at mercy of volatile food prices
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