海運分野の国際機関である国際海事機関(IMO)は10月28日、10月24日から10月28日までロンドンで開催された第70回海洋環境保護委員会(IMO MEPC)会議で、総重量5,000トン以上の船舶に対し、船舶で使用した種別ごとの燃料消費量を測定する義務を課すことを採択した。総重量5,000トン以上の大型船は国際海運における温室効果ガス排出量の85%を占める。IMOには現在、日本、英国、韓国、中国、日本、ノルウェー、パナマ、米国、ロシア、オランダ、イタリア、ギリシャなど世界の海運大国を含む世界170ヶ国以上が加盟している。国際航空の分野では10月6のICAO総会にて、温室効果ガス排出量削減のための国際合意が誕生。今回IMOが海運分野の国際合意に至ったことで、これでほぼ全ての分野で温室効果ガス測定・削減の枠組みが出揃ったことになる。
【参考】ICAO総会、国際線への温室効果ガス排出削減制度で画期的な合意。排出権購入を義務化(2016年10月24日)
この制度のもとで、大型船の船主は今後、毎年年末に船籍国に対して温室効果ガス排出量データを報告しなければならなくなる。そして、収集したデータが船籍国は、IMOが定める測定方法に則しているかを確認した後、適合確認書を船主に対して付与、同時にIMOに対しデータを提出しなければならない。IMO事務局は、各国から収集したデータを年次報告書としてMPECに提出する。MPECへ提出される書類は、排出者に関するデータは匿名とされるため、船主が特定されないようになっている。このルールは、手続きが順調に進めば2018年3月1日に発効する予定。
MPECは同時に、海運業の温室効果ガス削減のための2017年から2023年までのロードマップを採択した。このロードマップでは、今後IMOが実施すべき研究、活動内容などがタイムラインを区切って設定されている。スケジュール通り進めば、2018年に「包括的IMO温室効果ガス排出削減戦略」が採択される見込み。海運業の省エネに向けた取組としては、今回採択した大型船の測定義務化を3つのステップのうちの第1段階と位置づけ、今後第1段階の状況を見極めながら新たなステップを定めていくという。ロードマップの期限となる2023年には、さらなる中長期的な計画を含めた次期戦略を採択していく予定。
IMOは、2011年に海運業の省エネに向けた取組を2011年に採択し2013年に発効している。その中では、2025年までに、新規建造船舶の温室効果ガス排出量を2014年比で30%削減することを謳っている。
【参照ページ】New requirements for international shipping as UN body continues to address greenhouse gas emissions
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