G20省エネ・ファイナンス・タスクグループ(Energy Efficiency Finance Task Group;EEFTG)は11月10日、これまでの活動をまとめたレポート「2016 Activity Report」を発表した。
G20省エネ・ファイナンス・グループとは、2009年のG8ラクイラ・サミットで組成された「IPEEC(国際省エネ協力パートナーシップ)」のもとに、2015年3月に立ち上がったタスクグループ。IPEECに参加している国は、現在G8諸国の他、G20構成国であるオーストラリア、ブラジル、中国、EU、インド、メキシコ、南アフリカ、韓国の全16ヶ国・地域。EEFTGは、その中で、IPEECが2014年に定めた「G20省エネ・アクションプラン」を複数年単位で実現していくための会議体としての役割を果たしている。EEFTGに参加している国は、IPEEC参加国のうち日本、イタリア、ブラジルを除き、アルゼンチンを加えた14ヶ国・地域で、フランスとメキシコが共同議長国を務めている。またEEFTGには、経済協力開発機構(OECD)、欧州復興開発銀行(EBRD)、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP-FI)、クリーンエネルギー閣僚会議(CEM)のクリーンエネルギー・ソリューションセンターなど国際機関も支援している。EEFTGの役割は、今年のG20杭州サミットで合意された「G20エネルギー効率リーディング・プログラム(EELP)」の中にも組み込まれている。
今回発表されたレポートは、EEFTGにとっての初めての活動報告書で、省エネ分野への投資を活性化させる動きに関し、G20諸国での進展と国レベルの好事例がまとめられている。レポートでは、省エネ分野への投資を加速させなければいけない背景について、エネルギー生産性の向上は経済活動のベースであるという経済的側面、パリ協定で定めた2℃目標の達成という気候変動的側面、国連持続可能な開発目標(SDGs)の目標7である「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の達成という発展的側面の3点から説明している。
EEFTGが今年に実施してきた内容は、国際会議の場でのワークショップを計18回開催し1,200人を動員。またEEFTG参加国でオンライン調査を実施し専門家72人から140を超えるアイデア提供を受けた。特にEEFTGは、省エネ・ファイナンスの分野で資産額世界上位の中国の金融への働きかけを強化しており、銀行世界トップ中国工商銀行(ICBC)が他の中国銀行大手とともに推進している「金融機関声明(Financial Institutions Statement)」とともにキャンペーンの立ち上げも行った。結果、現段階で世界117の銀行から省エネ投資コミットメントが表明されており、合計4兆米ドルの資産が省エネ声明のもとで運用されている。
省エネに向けたファイナンス活動というテーマは、今年のG20杭州サミットの場でも中国政府の強いリーダーシップのもとで大きく取り上げられている。主要国の環境金融の枠組みづくりや意見交換は、今後EEFTG含めたG20の活動が台風の目となっていきそうだ。
【レポート】2016 Activity Report
【機関サイト】IPEEC
【プログラム】G20エネルギー効率リーディング・プログラム(EELP)
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