欧州委員会は11月3日、EU加盟国内で実施される予定の環境・低炭素化事業144案件に対し、EU予算から2億2,270万ユーロ(約261億円)を助成する計画を承認したことを発表した。144案件の総プロジェクト予算は3億9,860万ユーロ(約469億円)で、そのうち55.9%がEU予算によって賄われる計算となる。
今回の助成は、EUが推進する「LIFEプログラム」を通じて行われる。LIFEプログラムは1992年に開始して以来、現在までにEU加盟国内外で4,300を超えるプロジェクトに対し投資を行っている。プロジェクトの予算総額は88億ユーロで、そのうち39億ユーロがEU予算から助成されている。現在も1,100のプロジェクトが進行中。プログラム予算は2014年から2020年までで約34億ユーロと定められており、ヨーロッパ社会の低炭素化に向け、環境と気候変動それぞれに対応するサブプログラムを実施している。
プロジェクトの対象としては、省エネ・省資源、自然・生物多様性、環境ガバナンス・情報、気候変動適応、気候変動緩和、気候変動ガバナンス・情報の6分野ある。それぞれの案件数と予算は、省エネ・省資源が56件、1億4,220万ユーロ(うちEU助成7,190万ユーロ)で、EUが進めるサーキュラー・エコノミー案件などが対象。
自然・生物多様性が39件、1億5,810万ユーロ(うちEU助成9,560万ユーロ)で、2020年までのEU生物多様性戦略案件などが対象。
環境ガバナンス・情報は15件、2,320万ユーロ(うちEU助成1,380万ユーロ)で、環境課題の認知度向上案件などが対象。
気候変動適応は16件、3,290万ユーロ(うちEU助成1,940万ユーロ)で、農業・林業・観光、山岳・島嶼地域の適応、都市適応・計画、脆弱性評価・適応、水の5つの戦略的テーマが対象。
気候変動緩和は12件、3,530万ユーロ(うちEU助成1,800万ユーロ)で、エネルギー、工業、土地利用・森林・農業の3つの戦略テーマが対象。
気候変動ガバナンス・情報は6件、690万ユーロ(うちEU助成410万ユーロ)で、気候変動課題の認知度向上案件などが対象。
気候変動分野への助成額は、適応、緩和、ガバナンス・情報併せて4,150万ユーロで、EU目標である2030年までに最低40%の温室効果ガス排出量削減に貢献していく。
LIEFプログラムでは過去にも多くの成果が報告されている。2015年度には、ドイツのブドウ園における気候回復力の強化やフランスで実証された低公害のセメントとコンクリート生産が、2016年度には、ベルギーでの省エネかつ水素電池稼働のゴミ収集車の開発や、イタリアでの廃水中の堆積物がもたらす健康被害の削減技術などが大きく評価された。
各分野(環境・資源利用の効率化、自然・生物多様性、環境ガバナンス、気候変動への適応、気候変動の軽減、そして気候ガバナンス)におけるプロジェクトの詳細は、欧州委員会によって追加の情報が発表されている。
【参照ページ】Commission invests over €220 million in green and low-carbon projects in Member States
【機関サイト】European Commission
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