11月7日からモロッコのマラケシュで開催されていた気候変動枠組条約COP22マラケシュ会議(COP22/CMP12/CMA1)が11月18日閉幕した。今回の会議は、パリ協定のわずか1年未満というスピード発効後初の会議ということもあり、大きな注目を集めていたが、具体的な進展なく幕を閉じた。パリ協定で定めた2℃目標達成のための具体的な仕組むづくりについては、11月15日から18日まで開催されたパリ協定の第1回締約国会議(CMA1)で議論されたが、一律の枠組みの中で制度化したい先進国と、先進国と発展途上国の間で差をつけたい発展途上国側の思惑が一致しなかった。
COP22マラケシュ会議で採択された決議文には、パリ協定の具体的実行策について、気候変動枠組条約の小委員会やパリ協定のもとに設置されるワーキンググループなどを通じて迅速に検討に入ることや、来年2017年のCOP23/CMA2で具体策検討のレビューを行うこと、遅くとも再来年2018年のCOP24/CMA3では決着をつけることを決意するに留まった。パリ協定で定められた発展途上国の気候変動適応のための資金援助については、京都議定書のもとですでに設置されている「適応基金」をパリ協定に資するものとすることとし、基金の運用方法やガバナンスを再来年のCOP24/CMA3までに決めることを決議した。それに向けて、来年4月末まで加盟国や国際機関、NGOなどからの意見募集を受け付ける。
また、COP21パリ会議の中で合意に至りつつもパリ協定の条文には加わらず、中途半端な位置づけとなっていた「先進国から途上国への年間1,000億米ドルの資金援助」についても具体的な進展はなかったものの、先進諸国は実施することのコミットメントについては再度表明した。
国連の総括では、今回のCOP22での議論により、気候変動への対応の中核は「技術」ではなく「エコシステム」であることが確認されたことを強調している。これはすなわち、低炭素化や炭素吸収などの新たな技術開発ではなく、地道な環境対策という道が重要だと認識されたということを意味する。
COP22マラケシュ会議の最中には、パリ協定からの離脱の可能性を示すトランプ氏が次期米国大統領となることが決まるということもあった。パリ協定第28条には、パリ協定からの離脱申告は発効後3年後にしかできないこと、また離脱申告後1年後にしか離脱できないことが規定されており、法的にはトランプ氏はパリ協定発効日から4年後の2020年11月4日以降しか離脱できない。しかし罰則などがないため、強引に協定から事実上の離脱をしてしまうことは非道義的だが可能は可能だ。中国政府などはすでにトランプ陣営に対して牽制の姿勢をとっている。
次回のCOP23/CMP13/CMA2は、フィジーが議長国となり、2017年11月にドイツ・ボンで開催される。
【参照ページ】CLIMATE ACTION IS UNSTOPPABLE!
【参照ページ】国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22),京都議定書第12回締約国会合(CMP12),パリ協定第1回締約国会合(CMA1)等
【決議】Decisions adopted by COP 22 and CMP 12 and CMA 1
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