カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)とカリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)は10月24日、両基金が2011年に開発した「Diverse Director DataSource(通称3D)」システムの新たなプロバイダーが決定したことを発表した。これまでは、金融指数開発世界大手MSCIのESG調査機関MSCI ESG Researchを通して3Dデータの閲覧が可能であったが、今後は取締役の指名、報酬、株主エンゲージメント等の情報サービスを手掛けるEquilar社のシステム「Equilar Diversity Network」を通じて提供される。
3Dは取締役候補者を検索するための人材データベース。開発した両基金は、経営ガバナンス向上にとって取締役会のダイバーシティ確保が重要であると考え、このデータベースを共同開発。株主や様々なステーくホルダーに対してのオープンサービスとして活用されてきた。3Dの運営は、2012年からはガバナンス・コンサルティング企業のGMI Ratingsが担うこととなり、GMI RatingsがMSCIに買収された後は、MSCIがプロバイダーとして運用を担ってきた。今年6月MSCIは同社の既存サービスと適合しないとして両機関に対して別のプロバイダーを探すよう通達していた。現在3Dには800名以上の人材データが登録されている。
取締役会のダイバーシティについては、米国証券取引委員会(SEC)が、両基金が提出した企業に取締役会のダイバーシティ状況の開示を求める請願書を検討している。両基金は2015年3月に複数の機関投資家とともにこの請願書を提出しており、企業の取締役候補者の性別、人種、民族、能力、経験、企業の使命と長期戦略に叶った特質などを評価できる情報を株主に開示するよう求めている。
CalPERSは、Carolyn Maloney下院議員の提出法案「Gender Diversity in Corporate Leadership Act of 2016」を強力に支持しており、投資先企業へのエンゲージメントや規制当局へのエンゲージメントを通じ、今後も複数のアプローチを取ながら取締役会のダイバーシティを推進していく予定。CalPERSは今年4月、上級管理職や取締役のジェンダーダイバーシティを重視している米国大型株銘柄で構成するSSGA Gender Diversity Indexに2億5,000万米ドルを投資することを決めるなど、投資運用としても取締役会のダイバーシティを重視する姿勢を見せている。
【参照ページ】Diverse Director DataSource Joins the Equilar Diversity Network
【機関サイト】CalPERS
【機関サイト】CalSTRS
【システム】Equilar Diversity Network
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