オランダ政府は9月14日、2050年までに「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」を完全に実現させるため、資源利用を大幅に削減し、廃棄物を削減していく協定を、インフラストラクチュア・環境大臣、経済・農業・イノベーション大臣、政府関係者、産業界、NGOの間で締結した。さらに、インフラストラクチュア・環境大臣は、埋立処分量を削減するため、廃棄物から利用可能な原材料を回収する予算として最大2,700万ユーロを投じることも発表した。この予算は、国内小学校7,000校での廃棄物の分別、リサイクルできないポテトチップス袋など環境有害製品の代替製品開発などに用いられる。
【参考】欧州委員会、EUの新サステナビリティ戦略「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」を採択(2015年12月26日)
この目標を達成するためにオランダ政府は、中間目標として、2030年までに、オランダ国内で利用される鉱物や化石燃料資源、金属など原材料の量を半減させる。また実現に向けてオランダの総力を挙げるため、産業界やNGOなど幅広い関係者と合意を結び、実現を阻む障碍を取り除いていく。大きなコンセプトとしては、省資源製品の推進、製品寿命の延伸、資源リサイクルの促進が3つの柱。これまでサーキュラーエコノミーを推進したい企業らからは資金不足による悲鳴も上がっており、政府は今後、サーキュラーエコノミーを支援すると謳っている大手銀行3行と協議を行い、この分野への資金供給を求めていく。
農業や酪農で知られるオランダだが、同国の主要な輸出品は、機械・輸送機器類、化学製品、鉱物性燃料等で、輸入品は、機械・輸送機器類、鉱物性燃料、化学製品等だという。電子産業における金属の例に見られるように、海外からの原材料に過度に依存していることが課題とされている。サーキュラー・エコノミーが100%実現できれば、例えば寿命が尽きたスマートフォンを完全にリサイクルすることにより金属を新たな製品として再利用できる。再利用には、新しい原材料の製造過程より遥かに少ないエネルギーしか必要とされず、温室効果ガスの排出量も少なく、環境にも有益だ。
建設資材の分野でも、解体物件からの資源を再利用するなど、廃棄物削減の余地が大きいとしている。例えば、橋や水門をオランダで育成する植物を利用した合成材料で製造することなども提示している。
一方、家庭ごみの削減については、住民にとってより解りやすくする必要があり、地方自治体が主要な役割を担っていくとした。今日、特に大都市で非常に大量の再利用可能なゴミが廃棄されており、今回の協定による再利用の進展が期待されている。
経済・農業・イノベーション大臣は、今回計画しているサーキュラー・エコノミーの推進により、2023年までに、オランダ国内で2030年までに73億ユーロの市場価値と54,000人の雇用を生み出すと言及した。
【参照ページ】Cabinet: National raw materials agreement to foster circular economy by 2050
【政府文書】A circular economy in the Netherlands by 2050
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