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【国際】世界エネルギー会議、異常気象、ハッキングなどエネルギー業界の新たなリスクを報告

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 エネルギー産業の世界団体である世界エネルギー会議(WEC)は9月13日、エネルギー業界に脅威をもたらす新たなリスクをまとめた報告書「The Road to Resilience: Financing resilient energy infrastructure」を発表した。WECは、今後対処が求められていくリスクとして、「異常気象の高頻度発生」「エネルギーの水依存」「サイバーセキュリティ」の3つを挙げた。世界エネルギー会議は1968年にロンドンに設立された民間団体。

 報告書によると、異常気象は過去30年間で発生率が4倍に増加している。異常気象の高頻度発生化により、火力発電や原子力発電などの安定稼働が脅かされ、水位の不安定化により水力発電でさえもリスクを抱えていくと見られる。さらに、異常気象によって寒暖が大きくなると、新たなエネルギー需要が生まれていくとも見られ、重層的な影響を受けていく。また、発電設備の水依存もリスクとなる。既存の発電所は水に大きく依存している。水力発電は自明だが、火力発電や原子力発電も水を熱伝導物質や冷却材として活用しており、エネルギー業界や農業に次いで水資源を使用している産業だという。水資源の希少性が世界的に深刻化する中、今後食糧とエネルギーの間で水の取り合いが起こる可能性が指摘されている。

 エネルギー業界で活用されているデジタル制御化、インターネット化もサイバーセキュリティという新たなリスクを産んでいく。2015年8月にはウクライナの発電所がハッキングされ、市民8万人が3時間の停電状態に陥った。ハッキングによる発電所停止、火災、爆発などのリスクが指摘されており、今後サイバーセキュリティ対策が必要になっていくという。

 報告書はこれらの新たなリスクに対応するためには、既存の運用の延長ではなく、政府政策の明確化や新たな企業ポリシーが必要になっていくという。また、リスク対策の実現のためには資金調達も必要になっていくと言い、報告書は保険制度を活用して不測の事態でも収益を安定化させる方法を取ることで、金融機関に安心して資金提供をしてもらえるようになると提案している。

 エネルギーは人間社会に必要だが、人間社会が引き起こす気候変動はエネルギー供給をますます不安定なものにしている。また、昨今、世界的なIT関連企業がハッキングによる個人情報流出などの被害にあっているが、このハッキングが発電設備やエネルギー関連施設に対して起こることを未然に防げるかどうかがますます喫緊の状況になっている。

【参照ページ】New resilience report: Diverse new risks to energy security demand smart response
【報告書】The Road to Resilience: Financing resilient energy infrastructure

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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