パーム油に関する認証機関である、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)は、マレーシアを本拠地とする巨大コングロマリット、IOIグループに対して今年3月以降認証の停止の措置を取っていたが、8月8日同社に対して再び認証を許可した。
IOIグループはマレーシアとインドネシアに広大なパーム油農園を有し、ユニリーバ、ケロッグ、マ-ズ、ネスレ等の多国籍企業の主要なサプライヤーとして発展してきた。しかし、森林破壊を生じさせていると複数の国際NGOから報告があり、またピートランドと森林の保護・管理が適切に行われていなかったことから、RSPOは監査結果を踏まえ、3月25日付けで認証を停止していた。
【参考】パーム油生産のIOIグループ、RSPO認証停止を不当とし裁判所に提訴
【参考】パーム油生産のIOIグループ、RSPO認証停止措置に対する提訴を取り下げ
審議にあたってきたRSPO紛争解決委員会は、IOIグループの改善内容を示す書面を審査してきたが、今回、認証停止理由となった全ての土地においてRSPOのサステナビリティ基準を満たし、また認証停止原因となった行為によって被害を受けた人々への補償及び関係修復も確実に実行されていると判断し、今回の認証再許可の決定を下した。同時に、今回の決定から30日以内に専門家による現地での実地調査を実施することも決定し、もしここでIOIグループの不正が見つかれば、直ちに認証を停止することも決めた。
今回のRSPOによる決定を受け、3月の認証停止時に即IOIグループとの取引停止の判断を下したユニリーバが、IOIグループとの取引を再開するかに注目が集まった。同社は、8月中旬に声明を発表し、IOIグループが今回策定したアクションプランが「目に見える成果」を得られるまではIOIグループとの取引の停止を継続するとした。同社は、全てのサプライヤーに対して設定しているユニリーバ・サステナブル・パームオイル・ポリシーに厳密に則することを要請しており、それを証明できる企業からのみから調達するという方針を貫く。
IOIグループとの取引再開を保留しているのはユニリーバだけではない。ケロッグ、ハーシーズ、ネスレ等の食品ブランドに加え、ジョンソン・エンド・ジョンソンも同様の見解を示している。その背景には、今回のRSPOによる措置が、グリーンピース等の環境保護団体による論争や批判を生じさせているという状況がある。IOIグループがアクションプランを確実に実行するかどうかについて疑念を呈している団体があると環境関連メディアは報じている。日本の花王もIOIグループとの取引停止に踏み切っており、動向に関心が集まる。
【参照ページ】CASE TRACKER
【参考ページ】Palm oil giant IOI Group regains RSPO sustainability certification
【参考ページ】Unilever refuses to reinstate IOI contracts until 'tangible progress' is shown
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