バーチャル・ウォーター(仮想水)とは、食料や畜産物を輸入する消費国が、自国でそれらを生産すると仮定した時に必要となる水の量を推定したものです。これは、食料や畜産物の輸入を、水を輸入していることと同様と捉えます。ロンドン大学東洋アフリカ学科(SOAS)名誉教授のアンソニー・アラン氏により提唱されました。
例として環境省によると、1kgのトウモロコシを生産するために必要な灌漑用水は1,800リットル。さらに牛はトウモロコシなどの穀物を大量に消費して育つため、牛肉1kgを生産するにはその約20,000倍の水が必要とされています。食料自給率が約40%の日本は、海外の水に依存しているということができます。2005年には、日本は海外から約800億m3ものバーチャル・ウォーターを輸入したと推定されました。
主にバーチャル・ウォーターを輸出している国はアメリカ合衆国や中国、インド、ブラジル、アルゼンチンなどが挙げられます。また、バーチャル・ウォーターを輸入している国はアメリカ合衆国や日本、ドイツ、中国、イタリアなどです。
バーチャル・ウォーターの概念がつくられた背景は、水不足が問題となっている国で、如何に食料や衣服などの生産時に大量の水を使用する商品を国内消費者に届けるか、と言う問題意識からでした。モノがグローバルに取引される現代において、 このような国々が、実際は他国の水の大量消費に依存していることは目に見えません。そこで、生産時に必要な水の量を想定することで、製品の生産時のウォーター・フットプリントを消費行動としてのウォーター・フットプリントと捉えることができます。
バーチャル・ウォーターとウォーター・フットプリントの違いは、前者が商品を作るために必要な水の量だけに着目している一方で、後者は水の量だけでなく、どこで、どの水源から水を消費しているかという点にも目が向けられる点です。つまり、バーチャル・ウォーターはウォーター・フットプリントを考える一つの要素ということができます。
参考文献
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