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【イギリス】スタトイル、スコットランド沖で世界最大の浮体式洋上風力を建設

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 エネルギー世界大手のノルウェー国有石油会社スタトイルは5月16日、世界最大の浮体式洋上風力発電所「Hywind」をスコットランド東岸沖で建設すると発表した。開発会社がこの日正式に英国王室領を管理するCrown Estateから海底借地の許可が出た。Hywindには、シーメンス社製の6MWタービンが5機設置され、設備容量は30MW。2017年中に操業を開始する予定。

 浮体式洋上風力発電は、風力発電を海底に固定させず、洋上に浮かべたままにしておく風力発電で、海底の深い沖合に設置できる新しい技術。既存の固定式洋上風力は、コンクリートと鉄の土台を海床に固定する方式のため、水深約40m以上では建設コストが高くなることが課題となっていた。今回導入される浮体式洋上風力では、重りで平衡感覚を安定させた鉄製の支柱の上にタービンが設置され、全体が漂流しないよう支柱はケーブルで海底に繋がれる仕組み。遠瀬でも比較的建設コストが安くすみ、固定式に比べ嵐や荒波など自然環境に対する柔軟性が高い。Hywindは、スコットランド北東部の街ピーターヘッドの沖合約25kmの地点に設置される。既にスタトイルはノルウェー沖で同型の設備を1基試験設置しており、正常に機能することが確認されている。

  スコットランドが世界最大の風力施設を建設する背景には、スコットランド自治政府が定めた法律「The Climate Change (Scotland) Act 2009」がある。自治政府自らが気候変動に積極的に取り組もうと2020年までに1990年比で42%の二酸化炭素排出量の削減、さらに2050年までには8%を上乗せ削減することを定めている。自治政府は、この目標を達成するため、2020年までにスコットランドの電力需要の100%に相当する電力を再生可能エネルギーで発電すると表明している。英国全体としては、2020年までに全エネルギー需要の15%を再生可能エネルギーにするとコミットしており、予測によると、2020年までに電力エネルギーの30%以上が再生可能エネルギーで発電されるという。現在、洋上風力は全ての風力発電設備容量の3%に過ぎず、ほとんどの風力発電所は陸地に設置されているが、英国のように陸地で施設建設認可が得にくい国では、洋上風力発電は発展の可能性が高い。

 スタトイルは、今回のプロジェクトを運営するにあたり、計画段階から環境アセスメントを実施してきている。内容としては、(1)発電所や送電ケーブルが与える環境負荷、(2)海底生物の生態系への影響、(3)魚介類の生体系への影響、(4)鳥類への影響、(5)海洋哺乳類への影響、(6)航空機および電波探知機への影響、(7)商業漁業への影響、(8)船舶と航海への影響、(9)海底の文化・歴史資産への影響、(10)それ以外の海洋活動への影響、(11)社会経済や観光業への影響があり、これら11項目に関する影響について調査・報告して当局から認可を得ている。

 これまでエネルギー生成ができなかった沖合洋上での発電が可能となる浮体式洋上風力発電には、ドイツでも実証実験が進んでおり、日本の福島沖や、米国、中国でも浮体式洋上風力には大きな関心が集まっている。浮体式の設計では、同じく洋上建設されているガス・石油掘削プラントから多くのヒントを得ており、耐久性や安定性などが研究されてきた。浮体式の分野でも企業の開発競争が激しくなってきているが、今回のHywindでは、この分野で先行しているシーメンス社が受注を勝ち取った。浮体式洋上風力発電もついに建設が本格化してきた。

【参照ページ】Statoil Set to Build the World's First Floating Wind Farm
【参照ページ】Hywind Scotland Pilot Park
【報告書】Hywind Scotland Pilot Park - Statoil

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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