機関投資家の気候変動リスクを調査・報告している国際NGOのAsset Owner Disclosure Project(AODP)は5月2日、機関投資家世界トップ500の格付とランキングを実施し、「2016 Global Climate 500 Index(グローバル気候500インデックス)」を発表しました。今年で4回目。気候変動では、昨年12月に気候変動枠組み条約パリ会議で長期目標が合意され、金融安定化理事会(FSB)でも気候変動リスクの情報開示に関するタスクフォースが形成されるなど世界的な大きな転換があったことから、AODPが発表するインデックスに注目が集まっています。
AODPの調査では、運用資産残高が20億米ドル(約2,200億円)以上の機関投資家アセットオーナー(年金基金、保険会社、国富ファンド、財団、寄付基金)を対象とし、公開情報と機関投資家へのサーベイ内容をもとに格付とランキングを実施しています。サーベイ回答が得られなかった機関投資家についても調査から除外することはなく、公開情報やステークホルダーからの質問回答をもとに同様に格付、ランキングを実施しています。サーベイでは、エンゲージメント、リスク管理、低炭素投資の3つのカテゴリーで合計41の質問項目が設定されており、公開情報とあわせ点数化され、最終的にA-AAA(上位5%)、B-BBB(上位10%)、C-CCC(上位20%)、D(上位50%)、X(下位50%)の5段階で格付されます。
AAA機関(トップ12)
格付最高位のAAAを獲得したのは12機関。欧州の公的年金基金でほとんどが占められています。また、米国の一部州やオーストラリアの年金基金の名前も目立ちます。AAA、AA、Aの格付を獲得した機関は昨年の24から31に増えた。またD格付機関が191から157へと減少する一方、CCC、CC、Cの格付け機関が27から41へと大きく伸びた。
日本のアセットオーナーの状況
今年の調査では日本の機関投資家は26機関が格付対象となりました。残念ながら、日本の最高ランクはDランクで、Dランクが11社、最低位のXランクが15社。とはいえ、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は昨年のXランクからDランクに上昇しており、GPIFの今後の動向について期待するコメントが報告書の中にも記載されました。
【報告書】GLOBAL CLIMATE 500 INDEX 2016
夫馬 賢治
株式会社ニューラル サステナビリティ研究所所長
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