マーケティング調査世界大手のニールセン・ホールディングスは5月3日、同社初となるサステナビリティ報告書「Global Responsibility Report」を発表した。ニールセン・ホールディングスは、これまでサステナビリティに関する調査報告やカンファレンスをしながらも、自社のサステナビリティ報告書はこれまで発行していなかった。ニールセン・ホールディングスは2011年にニューヨーク証券取引所に上場し、現在100ヶ国以上でニールセングループの事業は運営されている。今回の報告書の中でも、ESG(環境・社会・ガバナンス()に関する同社の中長期ゴールを定め、クライアントや従業員、投資家らに自社の戦略方針や対応優先順位などを包括的に理解してもらうことを目的としている。
今回発表されたレポートは、Global Reporting Initiative(GRI)のG4(GRIガイドライン第4版)に対応。トピックは、人材獲得・人材定着、多様性と包摂、デジタル化の実現、環境分野での持続可能性、サプライチェーン・マネジメント、企業の社会的責任、データ・セキュリティなど多くの分野を盛り込んだ。報告書の内容決定に際し、同社は2015年に非財務分野でのマテリアリティ調査を実施、その内容に基づきマテリアル・マトリックスを作成していた。マトリックスで優先順位が高いものには、データ・セキュリティ、データ・プライバシーが挙げラている。
初回となる今回の報告書では、まだまだ抽象的な表現が多く、具体的なゴールについての記述は多くない。しかしながら、すでにいくつか注力していく分野を掲げており、来年以降の報告書に期待がかかる。また、これからサステナビリティ報告書やCSR報告書を作成する企業にとっては、初版の到達レベルをどのように持っていくかについて、同社の報告書は参考となるだろう。
2015年 Global Responsibility Reportでの主な内容
- 主要なサプライヤーに対するESG要件の設定、サプライヤー多様化プログラムの実行、国際的な人権に関するガイドラインの採用
- 自社の根幹となる機密保持への継続的な取り組み、製品やサービスの質を向上、最高プライバシー責任者の任命、最新版の機密情報保持ガイドラインの採用
- 人材育成や人材定着、人材採用の強化に向けた自社の技術力と分析力の活用、職場環境の改善
- データセンターでの排出物や電力消費抑制、環境への影響範囲の特定
- Nielsen Caresを通じ、社会貢献活動への毎年1,000万米ドル(約10億8,000万円)の投資
- "Data for Good"のイニシアチブの実現(国連財団やセールスフォース、アクセンチュアとのProject8の共同開発による国際開発ニーズの予測、シカゴ大学のKilts Center for Marketingへのニールセンのデータセットの導入、Better Business Bureauの"Digital IQ"プロジェクトの共同開発など)
- Employee Resource Groupsの拡大・発展、自社成長・強化・イノベーション力向上の要となる多様性への社内文化醸成に向けてダイバーシティ統括責任者の任命
- 透明性に関するthe Center for Public Accountabilityでの評価で95%を獲得
- 2015年のエクセレート買収で実現された国際的収入の安定的に拡大
【参照ページ】Nielsen Releases First-Ever Global Responsibility Report, Aligned With GRI G4
【報告書サイト】
【企業等URL】Nielsen Global Responsibility Report
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら