資産運用大手の英Aviva Investors、資産運用大手の米Calvert Investments、NGOビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)、IHRB(Institute for Human Rights and Business)、オランダの責任投資協会VBDO、責任投資調査会社のVigeo Eirisの6社は、今年11月に発表予定の「Corporate Human Rights Benchmark(企業人権ベンチマーク:CHRB)」に関し、農作物、アパレル、採掘業の3業種の試験的測定手法を発表した。
企業人権ベンチマークとは、人権に焦点を当て、上記6社が世界的に影響力のある企業のランキングを付す試み。2014年12月に開催された「第3回国連ビジネスと人権フォーラム」で構想が立ち上がり、グローバル企業100社の人権に関するパフォーマンスをランク付けする世界規模での初のプロジェクトとなる。その後、具体的な測定方法開発のため1年以上をかけて400社超を調査していた。今回の発表によると、日本企業では、ファーストリテイリング(アパレル)とイオン(アパレルと農作物)の2社が評価対象となる100社に含まれている。
CHRBのプロジェクトメンバーは、業界ごとの主要リスクを特定し、企業評価を比較可能なものにするためベンチマーク測定方法の確立に注力してきた。今回発表された試験的測定手法は、国連人権理事会が2010年に提唱した「Guiding Principles on Business and Human Rights」を踏襲、ガバナンス(10%)、デューデリジェンス(25%)、救済(15%)、深刻な嫌疑への対応(20%)、企業の人権実践(20%)、透明性(10%)の6つの大項目で構成されている。大項目はさらに小項目に分かれており、小項目ではScore1とScore2という2段階で評価、Score1基準を満たさなければゼロ、Score1を満たせば1、Score1と2の双方を満たせば2のスコアが得られる。今年秋に公表される今年度版では農作物、アパレル、採掘業の3業種だけが対象だが、今後紛争鉱物などで注目される情報機器も対象になる可能性がある。
約300社の機関投資家等により構成されているNGO、 Interfaith Center on corporate Responsibility(ICCR)のDavid Schillingシニアプログラムディレクターは、今回の発表について、「巨大な世界規模のグローバルチェーンを持つ企業を中心として、企業の人権パフォーマンスをベンチマーク化することは、労働者や企業活動の影響を受けるコミュニティにとって非常に重要なことである」とし、「ICCRは、CHRBが就職活動時に求職者が料金の支払いを強いることを禁ずる”No Fees”という活動や、雇用主が私文書の保持を通じて労働者の転職を妨げる慣行について取り扱っていることを特に評価している」と述べた。
近年注目されるESG分野においても、S(社会)はなかなか関心を集められてこなかった。この世界初の人権ベンチマーク評価は大きなインパクトを及ぼすと目されている。CHRBの公表は今年11月の予定だ。
【参照ページ】Core values: Corporate benchmark launches to measure human rights
【報告書】Corporate Human Rights Benchmark Pilot Methodology 2016
【参考サイト】北欧最大の運用会社ノルディア、企業人権ベンチマークの開発に参画
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