AA1000とは?
AA1000とは、企業責任や持続可能な開発などの課題に取り組む英国の国際的なNGO、AccountAbilityが発行している国際基準のことです。AA1000シリーズは、ガバナンスやビジネスモデル、組織戦略などに影響を及ぼす課題に取り組むと同時に、サステナビリティ監査やステークホルダー・エンゲージメントに関する指針も提供しています。
AA1000の3基準
AA1000シリーズには、具体的に以下の3つの基準があります。
1. AA1000 AccountAbility原則基準(AA1000APS)
組織体が自身のサステナビリティに関する課題を認識、優先し、それに対応するための枠組みです。「重要性」(重要性の高い情報の開示)、「対応性」(ステークホルダーの期待への対応とその情報の開示)、「完全性」(持続可能性に関する重要な側面の完全な特定と理解)の三原則から構成され、組織体がアカウンタビリティを果たすための原則となっています。
2. AA1000保証基準(AA1000AS)
組織体が保証提供者に対しAPSをどの程度満たしているかを、第三者保証機関が評価するための評価基準です。上記の三原則(重要性、対応性、完全性)に照らして評価されます。
3. AA1000ステークホルダー・エンゲージメント基準(AA1000SES)
組織体のステークホルダー・エンゲージメントが目的・結果を伴い実践的なものとなるようにサポートするための枠組みです。ステークホルダー・エンゲージメントの手順が専門家たちの視点を踏まえて解説されており、リスク管理やサステナビリティパフォーマンス向上のためのツールとして活用できるようになっています。
企業の対応
ここでは、実際にAA1000シリーズを活用し、自社のCSR活動に活用している日本の企業の事例について解説します。
富士写真フイルム株式会社
富士フイルムは毎年のCSRレポート作成に当たり、サステナビリティ認証機構にAA1000保証基準に基づいた評価を依頼しています。具体的には、CSRポリシーやリスク管理などのビジョン、ステークホルダーの関与などについて継続的な評価を受けています。例えば「完全性」に関しては、2006年には社内読者意見交換会の開催などが高く評価されました。また「対応性」については、安全面や教育面でのより高い評価を目指すことが課題として挙げられました。
武田薬品工業株式会社
タケダはSRI(社会的責任投資)インデックスの調査を通じ、CSRのトレンドや投資家、NGOなどが製薬会社に期待している事項を把握しています。その上でAA1000の基準を活用し、ステークホルダーとの対話の質の向上に取り組んでいます。例えば、患者や医療従業者に対しては相談室や広告・ホームページを通じた情報提供を、また株主や投資家に対しては年間レポートなどを通じた情報提供、CSRアンケートの対応などを行っています。
AA1000の今後
AA1000シリーズは、新たな評価基準の導入や評価内容の変更によって更新を続けることで、“シンプルかつ適切で実践的”な評価基準となることを目指しています。今後は、組織体が自身のサステナビリティパフォーマンスを再考し改善するために欠かせない、より重要な基準として機能していくことが期待されます。
参照URL
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら