国連グローバルコンパクトおよびDNV GL、北欧のシンクタンク、Monday Morning Global Instituteは1月26日、2016年版のGlobal Opportunity Reportを公表した。同報告書は、世界が直面している社会的課題やリスクを特定したうえで、それらをどのように機会へと転換することができるかについて示したものだ。
今年の報告書では5分野のリスクに対し、それらのリスクを機会に変える15の方策がまとめられている。データは世界中の5,567人の産業界・政府・社会的リーダーに対する調査(全回答者の83%に該当)に加え、8カ国から200人以上の専門家による知見を集積したものだ。報告書で挙げられている最も切迫したリスク、およびそれに対応した機会は下記の通りだ。
・リスク:若い世代の活躍の場が少ない(42%)
・機会:デジタル労働市場の活用、技術・技能面での格差是正、未来起業家の育成
・リスク:輸送により加速する二酸化炭素排出(21%)
・機会:柔軟な移動システム、クラウド型輸送システム、輸送量の少ない都市
・リスク:生命を救う医薬品への耐性(15%)
・機会:精密な治療、抗生物質を使用しない食品、抗生物質分野の新たなビジネスモデル創出
・リスク:食糧危機(14%)
・機会:農業へのスマート技術の導入、食品廃棄の削減、新たな食習慣
・リスク:海洋生物多様性の喪失(8%)
・機会:海洋関連経済の再生、製品ライフサイクルのループを閉じる、海洋へのスマート技術導入
世界のリーダーらが最も切迫したリスクと考えているのは若年層の雇用に関する課題で、それを機会に変換するためにはデジタル分野での活躍に可能性を見いだし、技術・技能のギャップを埋めるべきだと考えていることが分かった。また、未来志向型の起業家育成も重視されている。
また、産業界のリーダーらは社会リスクに対処する鍵を握るのはテクノロジーと経済だという信念を持ちつつも、政府に対してもさらなる努力を求めており、昨年国連で採択されたSDGsは大きなビジネスポテンシャルを秘めていると考えていることも分かった。
Monday Morning Global InstituteのCEO兼創設者であるErik Rasmussen氏は、「我々は昨日までの方法で今日の問題を解決することができない。仕事の消滅、ロボットの出現などによる若者の失業などの複雑な課題に対処するために、新たな機会は喫緊に必要とされている」と語る。
同報告書からは、世界中のリーダーらが同じメッセージを発していることが分かる。それは、世界には気候変動から食糧危機、若年失業にいたるまで多くの社会的リスクが存在しており、それらの多くが喫緊の対処を必要としている一方で、それらは同時に最大のビジネスチャンスともなるということだ。喫緊のリスクをどのように機会に変えることができるのか、業界や規模を問わず全ての企業が考えるべきときが来ている。
【レポートダウンロード】2016 Global Opportunity Report
【参照リリース】New report reveals: Business a key activist in turning global risks into opportunities
【団体サイト】UN Global Compact
【団体サイト】Monday Morning Global Institute
【企業サイト】DNV GL
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