マッキンゼー、ユニリーバら世界を代表する大手企業ら10社は1月22日、UNウィメン(ジェンダー平等と女性エンパワーメントのための国連機関)の公表した報告書、"HeForShe IMPACT Parity Report"の中で、自社の女性管理職の人数や役員会における女性割合など、従業員のジェンダー多様性に関する詳細なデータを開示した。
今回のデータ開示は世界中の企業トップが集結した世界経済フォーラム(ダボス会議)の中で行われ、国連事務次長兼UNウィメン事務局長を務めるPhumzile Mlambo-Ngcuka 氏と国連親善大使Emma Watson氏の参加の下で公表された。
昨年のダボスでの総会において、UNウィメンはジェンダーの平等を推進するためのイニシアチブ、HeForShe IMPACT 10X10X10の設立を発表していた。このイニシアチブは、世界中の政府・企業・大学からそれぞれ10名ずつ主要な意思決定者を選出し、トップから変革を起こそうと創設されたものだ。
10X10X10に選出された企業10社(Corporate Impact Champions)はアコーホテルズ、バークレイズ、コチ・ホールディング、マッキンゼー・アンド・カンパニー、プライスウォーターハウスクーパーズ、シュナイダーエレクトリック、タッパーウェア・ブランズ、ツイッター、ユニリーバ、ボーダフォンで、今回、産業界を代表して自社のジェンダー多様性に関する情報を開示した。
報告書の数値を見ると、全従業員中に占める女性の割合と、管理職に就いている女性の割合には依然として大きな格差があることが示されている。10社の従業員女性割合の平均は39.7%だったが、シニアクラスの役職に就いている女性割合は平均で28.6%となっており、最も低いケースでは11%で、一番高くても33%しかなかった。
これらの企業10社の数値は世界の平均を上回っているものの、UNウィメンはジェンダーの平等を目指して2030年までに男女割合50:50を目指す50-50 Planet by2030のキャンペーンを展開しており、いまだその目標とは乖離がある状況だ。
各社の状況としては、タッパーウェアの役員の40%、新規雇用者の61%が女性で、10社の中で最も平等が実現されていたほか、アコーホテルズでは役員の42%が女性となっていた。また、新規雇用者の女性割合は、バークレイが43%、PwCが48%、ユニリーバが41%となっている。
Phumzile Mlambo-Ngcuka 氏は「私はジェンダーの公平性に関するデータを明らかにしてくれた勇気と変革をもたらすための貢献に敬意を表する。10社は我々が考える世界基準についての詳細を示してくれた。女性は長期に渡ってリーダーとしての役割が少なく、正規雇用の数も少ない。今回、これらの企業の経験を通じて、我々は業界を変革するための解決策を見極め、広げることができ、最終的に平等な世界を実現することができる。彼らは、ジェンダーという課題について企業が発揮できるリーダーシップの形を示してくれている」と語った。
国連は、持続可能な開発に向けた2030年アジェンダに向けて、こうしたパートナーシップを主要な取り組みとして位置づけており、今回公表されたデータのようなジェンダーの平等に関する透明性の向上は取り組みの進展を図るうえで必要不可欠だとしている。
【参照リリース】UN Women’s HeForShe IMPACT CEOs from Fortune 500 companies reveal gender data
【団体サイト】UN Women
【レポートダウンロード】HeForShe IMPACT Parity Report
【参考サイト】2030 Agenda for Sustainable Development
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