食料廃棄物・ロスの削減に向けた動きが世界中で活発になっている。1月21日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムの中で、ネスレやテスコのCEOら30名のリーダーからなる"Champions 12.3"の発足が発表された。
同イニシアチブは「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。」という国連の持続可能な開発目標(SDGs)12.3の達成を加速させるのが狙いだ。
Champions 12.3は2015年6月にハーグで開催された"No More Food to Waste"会議に端を発しており、英国とオランダの両政府が昨年9月に発足を呼びかけたものだ。また、今回の発表は、ロックフェラー財団が世界全体の食料の廃棄物、損失の半減を目標として1.3億米ドルを投じて立ち上げたYieldWiseイニシアチブの発表と同時に行われた。
Champions 12.3は、食品・小売関連企業や各国政府、研究機関、農業団体、市民団体らによるマルチステークホルダーのイニシアチブで、今後は食料廃棄物、損失削減に向けた啓蒙活動や成功事例の共有、廃棄物削減を実現するアイデアや技術への投資促進などを行っていく。
このような動きの背景にあるのは、現在世界全体で食料の3分の1が廃棄またはロスになっているという現状だ。国連食料農業機関(FAO)によると、これらの食品廃棄・ロスは世界全体で年間9400億米ドルの経済的損失を生んでおり、それが飢餓を助長しているだけではなく、それらの食品を生産するために世界の農業用水の4分の1を消費しており、中国と同規模の耕作地が使われており、世界全体の温室効果ガスの約8%を排出しているという。
これらの廃棄・ロスを削減することで農家、企業、家庭の全てが大きくコストを削減できるだけではなく、経済、社会、環境面の全てにおいて非常に良い影響をもたらすことができる。SDGsの目標12で掲げられた重要なサステナビリティ課題の一つ、「持続可能な生産消費形態を確保する」の実現に向け、今後同イニシアチブがどのような活動を展開していくのか、今後も注目していきたい。
【参照リリース】New “Champions 12.3” Coalition to Inspire Action to Reduce Food Loss & Waste
【参考サイト】Champions 12.3
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