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【中国】2016年「経済骨太方針」決定。景気後退の軟着陸を強く意識。

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 中国共産党・政府の経済財政新会議に相当する「中央経済工作会議」が12月18日から21日まで北京で開催され、2016年以降当面の中期計画と2016年の経済骨太計画を決定した。景気後退が大きく顕在化している中国において、今回の計画は、中国は経済成長をかつてレベルに復活させるのではなく、「新常態」と呼ばれる景気減速を前提とする考え方に立ち、軟着陸を強く意識する内容となった。

 中央経済工作会議は年1回の最高経済関連意思決定会議で、毎年この時期に開催される。参加者は習近平総書記をはじめチャイナセブンと呼ばれる中国共産党最高幹部(中国共産党中央政治局常務委員)7名全てが出席。また、中央政治局委員(共産党幹部)、中央書記処書記(共産党事務最高機関)、全国人民代表大会(国会に相当)関係者、国務委員(閣僚に相当)、最高人民法院(最高裁に相当)院長、最高人民検察院(最高検察庁に相当)検察長、全国政治協商会議関係者、中央軍事委員会(軍の最高機関)委員なども例年出席している。昨年までは多くても3日間の開催だったが、今年は異例の4日間と長時間に及んだ。

 中期計画では、マクロ財政・金融政策、産業政策、ミクロ政策、改革政策、社会政策について「5つの政策の柱」を決定した。マクロ財政・金融政策では、積極的財政出動、減税、国家予算国債割合の段階的上昇を実施するともに、通貨政策を柔軟に発動し、低金利への誘導、流動性の確保、直接融資比重の拡大、外国為替決定制度の確立などを実施していくことを盛り込んだ。産業政策では、農業の近代化、国土強靭化、第三次産業の発展、インフラのIT化促進が挙げられた。ミクロ政策では市場経済をより促し、投資環境を改善することで、企業投資や消費を拡大していくことを狙う。また、改革政策では地方政府の独自政策を容認し、草の根レベルの改革を進めていくことを、社会政策では社会保障の充実を謳った。

 2016年の経済骨太計画としては、「生産能力の向上」「在庫の削減」「レバレッジの削減」「コストの削減」「弱みの補強」という5大ミッションを掲げた。「弱みの補強」とは、技術力の強化、ソフト及びハード面のインフラ整備、投資効率、労働者スキル、農業の近代化と農家救済の同時実行など中国経済において依然課題となっている要素への助成拡大がその具体的な内容だ。「在庫の削減」「レバレッジの削減」は、一般的に景気後退局面では経済をさらに冷え込まれせると言われるが、中国政府は敢えて過熱した経済を沈静化させる政策を打ち、軟着陸に向けた経済構造の正常化を優先させる構えだと言える。

 その中でも土地政策は不透明だ。中国での不動産開発は景気過熱の大きな要因となったが、政府としては土地政策を一種の「ニューディール政策」として活用したい気持ちもある。国務院国土資源部(国土交通省に相当)中国土地勘測企画院の高延利院長は12月29日、「弱みの補強」ミッションの一環として、休閑地再開発、農村地の土地収用、生産請負制農業の根幹となっている集団経営地の市場化、農村宅地制度改革、土地関連税制度整備など、これまで共産党体制化で独特な運用がなされてきた農地の改革を実施していく考えを示した。これらによってもたらされる農地への投資需要と不動産開発への沈静化をどう両立させるか。中国政府の手腕が問われる。

【参照URL】中央经济工作会议提出2016年五大任务
【参照URL】明年土地供应方向是补短板 双创及新产业用地将获重点保障

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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