スイスに本拠を置くサステナビリティコンサルティング会社のSolAbilityは12月15日、世界180カ国の"Sustainable Competitiveness"(持続可能な競争力)を格付けした"2015 Sustainable Competitiveness Index"(以下、GSCI)を公表した。
SolAbilityは「持続可能な競争力」を「将来においても現在の豊かさのレベルの達成・維持能力を失わない形でインクルーシブな豊かさを創造・維持ししていく能力」と定義しており、同格付は世界各国が長期に渡り持続的に繁栄していく能力をどれだけ持っているかを測定するものだ。
今年の格付で1位に輝いたのはアイスランドで、2年連続トップとなった。2位から4位はスウェーデン、ノルウェー、フィンランドと北欧諸国が独占したほか、以降もスイス(5位)、リヒテンシュタイン(6位)、ルクセンブルグ(7位)、ドイツ(8位)、デンマーク(9位)、オーストリア(10位)の順となり、上位10カ国は全てヨーロッパ諸国が占める形となった。
上位20ヶ国にランクインしたヨーロッパ諸国以外の国としては日本が11位で最も高く、ニュージーランドが12位、カナダが16位という結果だった。また、世界最大の経済大国である米国は43位、英国は48位となり、新興国の中国(25位)、ロシア(33位)を下回った。
SolAbilityは今回の結果を受けて、GSCIではシンガポール(34位)や韓国(40位)、日本、中国といったアジア諸国が台頭しているものの、これらの国々では自然資本の制約や現状の資源強度の高さおよび資源効率の低さが持続可能な成長の妨げとなりうると指摘している。また、Social Cohesion(社会的一体性)に関するランキングは北欧諸国が上位を占めており、社会的一体性は社会的コンセンサスに紐づく経済成長の結果もたらされることを示しているとしている。
GSCIは、SolAbilityが世界銀行およびUNDP、UNEP、IMFなどの国連機関、そしてトランスペアレンシー・インターナショナルなどのNGOらから過去5年分にわたる106の数値指標を収集し、自然資本、社会資本、資源管理、持続可能なイノベーション、ガバナンス能力の5つの要素に基づいて各国を評価したものだ。
同社はGSCIを公表している背景として、ムーディーズやS&Pといった大手信用格付機関による既存のソブリン債格付は各国のサステナビリティ要素を考慮できておらず、投資家のリスクと機会を正しく反映できていないという点を挙げている。
投資家のESGリスクに対する関心がますます高まりを見せる中、国家の信用力を示す尺度も徐々にシフトしてきている。今回、日本は欧州諸国以外では最高位となる11位にランクインしたものの、国内を見てみれば労働人口減少や格差問題など、持続可能な成長を実現する上での課題も多い。今回の結果を前向きに受け止めつつも、真の意味で「持続可能な競争力」を担保するために引き続き政府、産業界、金融関係者らの協働により国全体としてのサステナビリティ戦略が推進されることを期待したい。
【レポートダウンロード】The Global Sustainable Competitiveness Report 2015
【参照リリース】2015 Sustainable Competitiveness Index
【企業サイト】Solability
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