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用語集

貧困

1. 貧困の定義

貧困とは、一般的には低所得で生活水準が低いことを指しますが、一律に定義することは困難です。以下に多様な定義のいくつかを列挙します。

世界銀行

世界中の貧困の指標として、国際貧困ラインを設定しています。2015年10月に、2011年の購買力平価(PPP)に基づき1.9ドルに改定されました。PPPとはPurchasing Power Parityの略で、米国において1ドルで購入できるものと同じ財・サービスを国内で購入した場合に必要とする国内通貨単位数です。貿易・非貿易財の両方の物価水準の違いを反映しているため、より意味のある国際比較が可能となります。

2008年以降、1.25ドルが国際貧困ラインとされてきましたが、2012年の時点でこの水準未満の人は(入手可能な最新のデータに基づくと)約9億人でした。2015年には極度の貧困層は7億人強と推定されています。

世界銀行による国際貧困ラインは、他者・他地域・他国等との比較ではなく、あくまで人が生きていく上で必要な衣食住の最低限のレベルであり、この指標以下の生活を強いられている人びとが「絶対的貧困」に該当します。

このような「絶対的貧困」に対して、他者・他地域・他国等との比較における貧困は、「相対的貧困」と分類されますが、この両方を関連付けてとらえることの有用性を主張する専門家もいます。

国連開発計画(UNDP)

貧困を「教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギー等、最も基本的な物質・サービスを手に入れられない状態のこと」と定義し、出生時平均余命、成人識字率と初等・中等・高等教育の総就学率、1人当たりの国内総生産の3分野を基にその達成度により貧困の状況を把握し、毎年「人間開発指数(Human Development Index:HDI)を作成し公表しています。

多次元貧困指数(Multidimensional Poverty Index: MPI)は、保健、教育、所得という人間開発指数(HDI)の3つの要素に関して、世帯レベルで複数の形態の貧困がどの程度重なり合っているかを表す指標であり、多次元貧困状態にある人の割合、および多次元貧困状態にある世帯が直面している貧困の深刻さを映し出すものです。

経済協力開発機構(OECD)

開発援助委員会がまとめた「DAC貧困削減ガイドライン」によると、貧困とは1」経済的能力、2)人間的能力、3)政治的能力、4)社会・文化的能力、5)保護能力の5つの能力が欠如している状態であると定義しています。この概念は貧困を所得、消費、資財の所有等の経済的な側面からだけ認識するのではなく、人それぞれのもつ潜在的能力を発揮できない状態、選択の自由をもたない、あるいは制限されている状態として捉え、国連開発計画による概念と同様に、貧困の削減を人の能力開発との関連から論じたアルマティア・センの思想が基になっています。

1)は、所得を得ること、消費すること、資産をもつことができる能力で、食糧の確保や物質的な豊かさ、社会的な地位の決定要因となります。 
2)は、保健、栄養、教育、安全な水や住居など、人間にとって最も基本的な条件を満たすことができる能力で、生産活動や経済力の向上を妨げる要因となる病気や教育の欠如を防ぎ、貧困の削減や撲滅を目指すための基盤となるものです。 
3)は、人権や政治的な自由が保障されている状態であり、これらがはく奪されていると独裁的な政治や不公正な慣行につながり、暴力や紛争など、貧困層に多大な被害を及ぼす事態に発展します。 
4)は、地域社会に価値あるメンバーとして参加する能力であり、貧しい人々は地理的・社会的な疎外や孤立に直面することが多く、また文化面での享受や貢献も困難な状況に陥ってしまいます。
5)は、経済的、外的ショックに抵抗する能力で、貧困者は防衛能力や安全確保の手段に乏しく、政治的な紛争や自然災害、気候変動による悪影響に脆弱であるため、大きな被害を受けがちです。

厚生労働省

貧困線(等価可処分所得((世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値))の中央値の半分)に満たない世帯を「相対的貧困層」とし、貧困線に満たない世帯員の割合を「相対的貧困率」と分類しています。

2. 世界の貧困データ

地域別貧困

下表は世界銀行によりまとめられたデータです。最も貧困率が高いサブサハラ・アフリカ地域では2002年の貧困率、約57%と比較しますと、それ程大きな減少が見られていません。一方、南アジアでは2002年の貧困率、約41%から20%以上減少しています。また途上国全体としては2002年の貧困率、約31%から半減していることが注目されます。

貧困撲滅の進捗状況は、あらゆる形態において、各国・集団間で大きなばらつきが見られ、その達成度にも大きな格差があります。

地域別貧困率

国際貧困ラインに基づく地域別貧困率(2012年)

poverty

(出所)World Bank 世界の貧困に関するデータ 

※貧困ギャップとは、貧困層の平均的所得が、貧困ラインを下回っている割合を示す数値です。
※※二乗貧困ギャップ率とは、貧困層内の所得および支出の格差を計るために、支出(所得)の不足分を二乗することで、より貧しい人の状況を指標により大きく影響させようとした数値です。

極度の貧困

2000年9月に国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言を基にしたミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)は、開発分野における国際社会共通の8つの目標で、極度の貧困と飢餓の撲滅はその一つに掲げられました。達成期限となった2015年までに下記のように一定の成果をあげたと報告されています。

1990年2015年
世界全体36%(19億人)12%(8.4億人)
開発途上地域47%14%

しかし、現在も8億人以上が極度の貧困という状況下にあり、この目標は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に引き継がれています。

引用・参考サイト

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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