気候変動に関する情報開示を求める機関投資家らによる国際イニシアチブのCDPと、気候変動対策を推進する国際NPOのThe Climate Groupは12月7日、州や地方自治体など各国の「政府」以外の気候変動方針に関する調査報告書、"Unlocking ambition: Top corporate and sub-national climate commitments"を公表した。同報告書によると、現在世界では200の企業、州政府、地域、都市らが100%脱炭素にコミットしていることが分かった。
企業としては米グーグルやマイクロソフト、ゴールドマン・サックス、インドのインフォシスなど87社が温室効果ガスの80~100%削減もしくは再生可能エネルギー調達100%の目標を掲げており、地方自治体としては米カルフォルニアやスペインのバスク地方、カナダのバンクーバーなど、23の州と地域および90都市が同様の目標を掲げ、低炭素による成長と繁栄を自治体としての戦略に位置付けているという。
日本からは、企業としてはリコー(2050年までに温室効果ガス88%削減)、コニカミノルタ、大林組(いずれも2050年までに温室効果ガス80%削減)の3社が掲載されており、地方自治体としては福島県、岐阜県、京都府、札幌市、下関市、所沢市、八尾市、横浜市が2050年までに温室効果ガスを80%削減という目標を掲げており、報告書リストに掲載されている。
2014年にペルーのリマで開催されたCOP20で公表されたUNFCCC(気候変動枠組条約)による政府以外の組織による気候変動対応イニシアチブ、Non-State Actor Zone for Climate Action(以下、NAZCA)には、既に世界2,200以上の都市、150以上の地域、2,000社以上が署名しており、企業はもちろん、地方自治体レベルにおける気候変動対応への取り組みは既に世界中に広がっている。
CDPは、これら各国政府以外の組織が掲げる温室効果ガス削減目標は非常に大きな影響力を持っており、100%再生可能エネルギーを調達するという目標はクリーンエネルギーに対する確実かつ多大な需要を生み出し、新たなクリーン技術への投資を活性化させ、政策に影響力を生み出すとしている。
また、CDPは今回リストに掲載された地方自治体や企業のほとんどがWe Mean Businessの展開するCommit to ActionキャンペーンやRE100キャンペーン、Science-Based Targets Call to Action、Under 2 MOU、Compact of States and Regions、Carbon Neutral Cities Alliance、Compact of Mayorsなど、他の組織や団体との協働プラットフォームに参画し、コレクティブアクションを推進しているとしている。
COP21において世界195ヶ国の政府が歴史的な合意を果たした今、次は各地方自治体や企業が目標実現に向けて具体的な取り組みを推進していく番となる。今回CDPが公表したリストにあるように、既に一部の先進的な企業や自治体は自主的に高い目標を掲げて気候変動対応を推進し、それを企業や都市としての競争力の源泉にしようと取り組んでいる。今後、同様の動きがさらに他の団体へと拡大していくことを期待したい。
【レポートダウンロード】Unlocking ambition: Top corporate and sub-national climate commitments
【参照リリース】200 businesses, cities, states and regions commit to full decarbonization
【参考サイト】Non-State Actor Zone for Climate Action
【団体サイト】CDP
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